薄桜鬼_短いもの

□言ってみよう!_4 左之さんの場合
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お兄ちゃんな原田さんはいつも女の人と一緒。
そして毎日、丁稚さんがもってくるものと、番頭さんがもってきたりする香をたきしめた恋文が山のように届きます。
これだけ毎日恋文をもらうというのはどんな気分なんでしょう。
私は数少ない文を抱きしめたり、枕の下に敷いたりして密やかに幸せを感じたものですが……。
相手の女性に勘違いされて逆上されたりとか、修羅場になったりとか聞いたことないです。このモテモテさんはどんなふうに皆さんと遊んでいるんでしょうか。

次は原田さんに言ってみよう!!
何せ、都合のいいことに今は原田さんの腕の中ですから。この状況を生かさずしてどうするんですか。

「どうした? さっきから表情が忙しいぞ。どっか痛いとか気持ち悪いとかか?」
そう言いながらその綺麗な顔で覗きこまないで〜〜! 心臓に悪いですよぉ。
「ダ、ダイジョウブですっ」
緊張のあまり声の調子が変になってしまいました。恥ずかしいぃぃぃっ。

「無理すんな。お前がいてくれるから頑張れることも、やる気になることもあるんだから。
『俺だけ』を頼りにしてくれると嬉しいが、そうでなくても少しは頼りにしてくれ、な」

そんなキラキラで色っぽい視線で言われたら陥落に時間はいらないですね。もううっとり。
このままどこにでも連れてって!と、おねだりしちゃいそうになります。
流されちゃったら幸せが待っている……けど、ここは一部役得を交えつつ任務を遂行せねば。

「左之さん……いや、原田さんてば、そんな嬉しいこと言われちゃうと本気にしちゃうよ」
役得とばかりに胸元へすりすり。気持いい♪

「そんな他人行儀な呼び方するなよ。名前で呼んでくれよ。お前には名前で呼ばれたい」

だめか?なんて! !!!この特別扱い感全開の一言なんですねっ!!? 恋仲でもない私にもこんな扱いをしてくれるところに腰がくだけそうです。
どんだけ気障な科白だってさらりと言えて、おまけにこの声。おちない女がいたら会ってみたい。

「どうした? 熱でも出たか?」
にやりと笑われた。顔が赤くなってるの確定です。恥ずかしいぃー。
小娘な反応をしてごめんなさいっ。

「ったく。お前、可愛すぎだ」
少しはにかんだその視線。綺麗な琥珀の瞳が揺れて、そのまま覗きこまれると吸い込まれてしまいそうです!ってか、このまま吸い込まれて、呑まれてしまいたいのが本音かも。
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