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□アマヤカシテ
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時計が秒針を刻む音が部屋の中に響く。
私はリビングのソファで枕を抱えて座っている。
ちらりと横目で時間を確認すると、とうに日付をまたいだ時間をさしている。
「………フウ」
今朝小さな言い合いをした。
原因が何かを思い出せないぐらいの些細なことだったと思う。
日ごろ怒らない彼が明らかに不機嫌な態度をみせた。
私だってかなり頭にきてたと思う。
お互いに意地になってそれぞれがムッとしたまま出勤した。
日中にちょっと反省して連絡をしようとした。
だけど、絶対にこっちが謝ることないって思ってた。
それに『珍しく電話とかメールを入れる暇もないぐらい忙しかったから』
でもそれは言い訳。
だってお昼を食べる時間もあったし、アポが出先でキャンセルになって30分ぐらい空いたのもあった。
だけど、
連絡いれても無視されるのが怖かった。
電話に出ても厳しい他人行儀な口調が怖かった。
それに
私と別れる、って言われるのが怖かった。