krkの籠球 3

□Trick or Treat!【氷室】
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秋田という土地にあるにも関わらず、ミッション系スクールである陽泉はどちらかといえば日本のイベントよりも西洋系のイベントが開催されることが多い。
10月ということで各地で紅葉のイベントが実施され、郷土食ということできりたんぽ祭りが併設されているのに、この学校で10月の一大イベントといえばハロウィン。

みんな中間試験が終った頃からウキウキと今年のパーティー用の衣装を用意するらしいけど、一部の凝り性は一年前からパーティーに向けて計画をするらしい。

私はいわゆる『一般的な』生徒だけど生来モノグサなもので、ハロウィンの一週間前にようやく腰をあげた。
去年は同室の子に無理やり参加させられてしまったので、今年はできれば遠慮したいと思っていたぐらいなので「あわよくば逃げる気まんまんだった」ともいう。

……なのにその野望はクラスメイトの氷室くんにより玉砕された。



ウチの学校に通う生徒の7割が寮生、2割が下宿、自宅生は1割程度。
自宅生はまあいいとしても、年に何度か行われるイベントにかける費用を捻出するためにバイトをしたくても、なかなか定期的な外出許可が下りないため懐事情が芳しくないこともあるわけで。

今回の私の懐事情がまさにその通りなもので、なかなか重い腰を上げることができなかったともいう。(←せめてもの言い訳…あうっ//)

私の事情はさておき、そんな懐事情を大人はわかっているとでもいうべく、さまざまなイベントに応じた装飾品などを学校の倉庫に保管していて、希望申請をすれば寮生および下宿生に限り無償で提供してくれる。(ムダに親切だわっ!)

ただし使用してよい商品は、利用申請時に配布されるくじに記載されたエリアのロッカー内にあるものに限定されている。
そのエリア内であれば何をどのように加工して使用してもかまわないけれど、指定外のものに手をつけてはいけないし、最終的にはそのロッカー内をきっちりと掃除をしなければいけないというルールがある。

衣装があってもサイズが違う、ゴミしかない、などのことがあるため、運を味方につけないと二度手間となることもあるギャンブラー御用達のアイテムたち。
そのため、意外と不人気で年間の利用者は片手程度、だそうで……。

あまり乗り気ではないが、懐事情と相談したところ致し方なく今回はそれに頼ることにした。
とんでもないものに当たらないよう、気合を入れてくじを引く。間違ってもゴミだらけのアウトなエリアを引きませんように! 必要な分だけで良いから、役に立てそうなものが入ってますように! と、気合を入れて倉庫に向かった
なぜか『バスケ馬鹿』と1年のお菓子魔人に称されているこの美貌の主、氷室辰也と一緒に倉庫へ行く羽目になっている。

まあ、理由が「俺もちょっとitemがほしいから一緒に行ってもいい?」なんだけど。
断る理由が見つからなかったから同行してます。
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