krkの籠球 3

□髪、くくりましょう【火神】
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「今日もあちぃな」
「夏だからとはいえ、こう毎日暑いとバテるよ〜」

「そういや、昨日の練習ではフリがダウンしてたぞ」
「あちゃー。コウちゃんてばまたかあ。リコちゃんの不審電話はそのせいね」

昼間の着信履歴が鬼レベルだったんだよね。10分ぐらいに30件の履歴。
夜電話したけど『別にー』なんてごまかされたんだけど。

「『保護者に連絡!』って言ってたからな」
「…幼なじみは保護者じゃアリマセン」

ぷいっ。

「わりぃ! カントクが言ってただけだからよ。るうは保護者なんかじゃねえよ、です!!」

オロオロしながら私の機嫌をとろうとしてくれる大我。
必死さの度合いは口調でわかるよ。
思わず吹き出しちゃう。

「ぶっ、そんなに必死になんないでよー。そんな程度じゃ不愉快になったり怒ったりしないよ」

耳が髪とおんなじ色になってるよ大我。

「ちげぇって! そんなことねえよ」
「じゃあ、なぁに?」

意地悪口調のまま顔を近づける。
ドギマキする姿は何度見ても可愛くて好き。
大柄で体格も良い(ほぼ毎日電車の吊革にアタックされるほどの高身長!)といのに、こういう時と食事中は小動物的な反応をするギャップ萌は反則でしょう

「……、くて」

モニョモニョと何かつぶやかれたけど聞こえない。目の前にいるのに。

「え、なに? 聞こえないよ」

「…向かれると、…で顔…くて」

じーっと見てるけど大我の視線が泳いでる。
微妙に私を見ない。

だからもう一度聞くね。

「まだ聞こえないよ、デス」
「ま、真似んなって!」「大きい声でるじゃん。さ、はっきり言ってみようか。さっきみたいにそっぽ向いた方がいい?」

うっ、と息を飲んだ大我。
さあ、言ってみましょうか。

「そのままでいてくれ、です! そっぽ向かれると髪でるうの顔が見えねえのが嫌だ、です」

今度は視線もまったくそらさない。この帰国子女め! 直球すぎてこっちが照れちゃうよ。

「そ、そっか。髪、邪魔?」
「顔見えねえのはあんまり好き、じゃねえ、かも」

「えっと、じゃ短くしたほうがいい?」

夏場は暑いから切ってもいいかな、って肩上までの束をつかんで『このへん?』ってつかんだら…。

「ダメだっ!!」

髪持った手ごとホールドからのハグ。

「大我、ここ公道!」

じたばたしてもホールドは緩まない。
うにー、どうしよう。恥ずかしいよぉ。

「るうは長いのが似合う。それに、髪は女の命なんだろ? 切るなよ」

真剣な眼差しからニコッと笑われちゃあ頷くしかないよね。


「リクエストしてもいいか?」
「何?」

何のリクエストだろ。

「るうのPony Tailが見たいんだけど…だめか?」

これ……。と差し出された小さな袋。

その中身は可愛いリボン付きの赤いシュシュ。

「これで?」

コク。

「わかった」

あ、すごい笑顔。
じゃあ…

「これでお願いします♪」


髪、くくってくださいな。



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料理をする繊細な指はきっと器用だけど、四苦八苦しながらポニテをくくるかがみんを見てみたい。

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