krkの籠球 3
□「好き」は誰のもの 【桐皇】
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ピーカンの日中。
教室では絶賛授業中。
はい、私はサボり中です。
屋上の一番端にあるフェンスに手をかけ、一段、二段と高い所に登る。
あ、給水塔のところだったらもっと高く登れたか…まあいいや。あそこの階段の一段目は高くて、チビの私じゃどうせ登れなさそうだし。
すぅー。
「自分でコクったくせに無かったことにすんな!! バカにすんじゃねーよ!」
叫んでやった。
さて、次は名前を叫んでやるっ!
すぅー…
「に…「うるせえ」…は!?」
え? え? ちょっと何でよ!
今授業中だよね?
一体どこ…!!
キョロキョロと見渡すと、給水塔のある屋根に半身起こした人影?
……真っ黒に日焼けした男子? 一応制服の色は通常と同じに見えるし。
「おい、お前。俺の昼寝を邪魔すンなら余所へ行け」
二言目のときにはパタンと倒れて腕枕体制?、かろうじて頭が見える。
でも、そんな状態で話しているとは思えないほどの声が通る。
すごい腹筋鍛えてんだな〜声もイケボだし……って、何考えてんのよ、アタシ!
だけど距離にして5mの屋外。寝てるのによく見えるなあ。
さらに一段上がっても見えそうにないから、給水塔の下へ行く。
「ねえ!」
「……」
返事がない。
「ちょっと、いるんでしょ両面クロコゲ!!」
「ッアァァ!? 誰がクロコゲだぁ!」
返事と共に半身起こしたからやっと見えた。
野生の黒猫? いや、もっと肉食獣。黒い豹みたい。
こんな猛獣を都会に放置しちゃダメなんじゃん?
ちょっと怖いかも(泣)
怖さのせいかな。手すりに手をかけたまま硬直です!!
「ンだよ…立浪か」
「へ?」
何で? ワタシこの人と知り合いでしたっけ!?
体は硬直、だけど顔は間抜け面。
「在学中に学年一のチビが学校一のチビにランクした『伝説のチビ』だろ?」
給水塔からフワリと飛び下りたそのクロコゲ…もとい黒豹は私の頭をポンポンした。