krkの籠球 連載
□猫を拾う8
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<客間の前>
夕飯時に一騒動をした際の軍配は当然ながら俺に挙がった。
どの状況下でもそれは揺らぐわけがない。
ただ、なぜあの状況で俺に対して『何すんのよ馬鹿!』と叫ぶまでは想定内だったが、客間のドアを力いっぱい閉め、あまつさえ施錠した扉の向こうから『もう出てやらないんだからっ!』と叫んだことには理解できなかった。
たとえ施錠されたとしても俺がマスターキーを持っているとは考えていないと思われる。
それに、あの部屋から出られないと困るのは逆にかぐやだと思うんだけどね。
時計は朝の6時半を指しているが、客間のドアは昨日と同じ状態だ。
出てきていないだけなのか、それとも籠城しているつもりなのか。
今日は特に俺が出席しなければいけないような重要度の高い仕事はない予定だったはずだ。
だから社に行かなくても問題はないだろう。秘書にはその旨を伝えてある。
ゆっくりかぐやにかまう暇はある。
黒子に聞いた『(一般的な)ペットの飼い方』だと、飼い主というのはペットに食事を与えたりグルーミングをしなければいけないらしい。
ああ、あとは躾だな。
躾については俺の得意分野と言って差し支えないだろう。野獣のようなキセキを手なづけてきた経験がものを言うだろう。
さて、うちのペットに必要なことは何だろうか。考えておいてやろう。
やはりお前は俺を飽きさせない。
面白いよ、かぐや。