krkの籠球 2

□雪国の学生さん【陽泉】
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東北地方にある秋田の冬は当たり前だが寒い。
気をつけていないといろいろなところでケガをすることになる。

東京などと違って、大雪に見舞われることは毎年のことなので雪対策はしっかりしている。
路面凍結に対して歩行者の靴には販売時から滑り止めがついているし、車なら滑らないタイヤを装着している。
家屋の窓も二重窓になっていたり、ドアも気密性が高く室内温度がさほど下がらないように設計されている。

外気にさえ長時間さらされなければ、よほどのことはない……はずである。


「『はぁぁ……』ほら、アツシ。息が白いよ〜」
「むぅろぉち〜んんんん。やめてよ、ざぶいがら」

楽しげにはしゃぐ氷室は制服の上に学校指定のコートと襟巻という割と軽装。
太陽降り注ぐアメリカ西海岸育ちなくせに、寒さには意外と強いらしい。
ちょっと嫌味なことに、襟巻はカシミアだそうだ。正直、高校生が持つようなものではない。

対するは紫の巨人、紫原は制服の上に厚手のコートを着込み、毛糸の帽子、耳当て、マフラー、手袋、ホカロンと寒さ対策万全な重装備。
だが、軽やかにはしゃぐ氷室と真逆の『子供が風の子だなんて誰が言った。ひねりつぶす!』と本気で思っているほどに寒いのが苦手。
できることなら暖かい部屋の炬燵でぐたぐたしながらお菓子を食べてこもっていたぐらいだ。

「寒い、寒いと言うから寒いんだよ」

と言う氷室。
だが、そんな理由は紫原には通用しない。
頭をふるふると横に振り、背中を丸くして少しでも冷気に当たらない体勢をとってひたすら歩く。まあ、もともとの面積が広いから難しい話だけど。

「しょうがないなぁ」

笑いながらその後をついていく。

「寒いのが嫌なら必要最低限だけの外出にすればいいのに」

この外出は必要なことなのかい?なんてからかい口調で言う。

「室ちんうるさいしー」

にらみつけるが、寒さのためかその眼光は威力半減。
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