krkの籠球 2

□試験対策? 【火神】
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どの学校でも『学生の本分は勉強』というのは大差ないだろう。
一部のスポーツに力をいれている学校では例外もあるだろうが、学業が疎かになると顧問や生活指導部の教諭からありがたくない贈呈品をいただく羽目になる。

ここ、誠凛高校バスケ部でも「馬鹿じゃバスケは勝てないのよ!」発言の監督命令により、試験で赤点をとりそうな危険人物には試験前の部活停止期間よりも前から対応策が練られている。
赤点予備軍の最重要危険人物。それはスーパーエース、火神大我に他ならない。


踏み込んだバッシュと床が『キュッ』と音を立て、大きな体が宙を跳び、手にしたバスケットボールは弧をえがくように吸い込まれていく。
いつもならばここで聞こえるのは火神の気合の入った一吠えなのだが、今日聞こえてきたのはかなりバスケから遠ざかった一言だった。

「幕末志士の代表。坂本竜馬の一派と呼ばれる三人は!」
「……えっと〜『中岡』『岡田』『新選組』っす」
「ダァホ! 新選組は敵対してんのに一派なわけねぇだろう。『中岡』『武市』『岡田』だ。これぐらい覚えろ!」
「……うっす」

ダムダムとボールをつく。

「ぼーっとしてると盗っちゃいますよ?」

そう言うが早いか、黒子にカットされた。

「てんめ。何しやがる!」

ボールを取り返して自前でシュートできそうなところを確認しつつ、少々強引に攻めていく。
ダンクをするつもりでゴール下まで突破していくと、相手Cの水戸部が行く手を阻む。
しかし、火神のジャンプの方が高いしパワーも違う。火神は水戸部を突破してゴールネットをゆらしたその瞬間

「火神! 水戸部が『夏目漱石の小説を3つあげろ』だって!」
「はぁ!!?」

目の前の水戸部ではなく、背後の小金井から声がする。
無口な水戸部の代わりに小金井が出題しているようなものだ。あっさりと抜かれながら火神が考える。
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