krkの籠球 2

□不在のわけ 【チーム陽泉】
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秋晴れの日曜日。さらには好天に恵まれた吉日。
荒木監督は親戚の結婚式があるということで不在であるが、バスケ部員たちは今日も練習で汗を流している。

「なぁ、だりぃ」
「またチビが練習をサボってるアル。力仕事はゴリラが得意そうアル。何とかこれを退けるアルよ」
「ワシはゴリラじゃないと何度も言っているじゃろが!」

文句を言っているのはスタメンの三人。主将の岡村、福井、留学生の劉である。
体育館では監督の置メモという名の『とても軽いのに、なぜかとんでもない強制力』がある練習メニューを実行している面子が、福井のグチにツッコミを入れていた。

「ってかよ、監督が居ないんだから今日は練習ナシでもいいんじゃね?」
「あの監督がメモだけで外出するなんてありえないアル。ホラ、体育館入口に時折人影が走るアル」
「ありゃ監督の舎弟じゃろな」
「なんだと?」
「きっと監督から『ちゃんと練習メニューこなしているか見てこい』とか言われているアル」
「俺たちへの信用度なんてモンは舎弟以下ってことか」

三人でそろって大きくため息をついた。

…………
……………

「オイ、ところでウチの『Wエース様』達はどうした」
「そういえば姿をみていないが……」
「堂々とサボりアル」

クルリと周囲を見回してから『はあ、やれやれ』という体で劉が言った。

「ったく! 電話して呼び出してやる!」

後輩である二人…一応氷室は2年生だが今年入部したてである。今年入部という点では紫原と一緒だ。
運動部は縦社会。理不尽な内容であってもバスケ部に所属している以上、先輩様に逆らうことなど断じて許されるものではない……はずである。
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