krkの籠球 2

□ウインターカップ 【桐皇】
1ページ/5ページ



会場にいる誰もが瞬時呼吸を忘れた。

誠凛の選手が放ったボールでゴールネットが揺れた。

点が入ったことを告げるホイッスルの音がやけに響いた。

それは誠凛に我が桐皇が敗北した瞬間だった。

*****************

ウインターカップ。通称表記は『 WC 』
それはバスケに精進する高校生ならば誰もが知る冬の一大イベント。
夏のインターハイ(IH)を含む数々の試合を勝利してきた強豪にのみ参加を許される年間の集大成ともいえる試合。

ここに出場するためにIHを勝ち進み、出場権を得た桐皇のバスケ部はとても強い。

組み合わせ抽選でキセキの世代がいるチームのいるヤマに当たらなかった! と聞いたときには技術だけじゃなくて組み合わせ運にも恵まれたと思った。
このままの勢いで上り詰めるものだと私は信じて疑わなかった。

若松君が「俺はいつもの調子で声出して、最強センターとして先輩たちに勝利をプレゼントするんだ。まずは一勝な」なんて柄にもないこと言ってたのは昨日のことなのに。


私は二階席の観戦席の背もたれに体を預けて、少しの間そのまま動けずにいた。
コートでは整列と挨拶をしているのが見える。

私の席からだと桐皇チームの背中側しか見えない。
若松君の大きな背中も見えるけど……少し小さく見える。
そう感じた瞬間、私は席を立って控室に通じるドアへ向かっていた。

**************

「あれ? 立浪さんじゃん」

そこにいたのは同じ中学だった男子。名前が出てこないけど、そのジャージを着てるところをみると海常高校のバスケ部なんだね。

「立浪さん桐皇だったんだ。知らなかったよ。今日は残念だったね」
「う……ん」
「あのさ−−−−−」

何か言われているのだけど、何も聞こえてこない。
このまま引き留められるわけにはいかない。

「ごめん、また今度」

そう言ってそのまま横をすり抜けた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ