薄桜鬼_現代 主は小説家

□掃討せよ!!【千鶴】
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今、私はとても困っています。
雪村千鶴として生を受けたときから何度目かの大ピンチだと思います。

今の状況を考えれば仕方のないことと思う反面、女子として相当に許されない状況にも置かれています。
いえ、女子どころか社会人としても許されないかもしれません。

会社のデスクに土足で上って、あまつさえ移動するなんて。
自分でも信じがたいことですが現実です。

誰も見ていないから大丈夫ですよね…って、立浪るうさん!?
いつからそこに!

え? 私が机の上をウロウロし始めたころ?
それってほぼ最初からじゃないですか。

こんなはしたない所を編集長に見られたら呆れられてしまいます。
お願いします。内緒にしてください。

緊急事態とはいえ、他の選択をすべきでした。
…もう手遅れですが。

何でこんなところに、ですか?
世にも恐ろしいできごとに襲われているからです。

ああ、でもこれで独りきりじゃないので少し心強いです。ありがとうございます!!

「どうしたんですか?」
いえ、口に出すのも恐ろしいできごとに追われたので、このような体制になっていまして…。
るうさんはご覧になってない、ということはもう大丈夫なんでしょうか。

「『ご覧』に? それはモノなんですか?」

モノといえはモノですが…。
もう大丈夫なのかしら。










カサッ


「今何か…」

聞いたんですね!?
い、今の音、聞こえました、よね!
そうなんですよぅ(泣)

『アレ』が出現したんです!!

「それってG…」
ダメです!! あんなモノの名を呼んではダメです!!

一匹いたらその三百倍…「いや、三十倍ですから」
いずれにしても恐ろしいことじゃないですか(泣)


カサッ

いやぁぁあ〜!!
私、ダメなんですよ〜

「雪村さん、落ち着いてっ! 私いるから、ね?」
は、はひぃ。
「泣かないで、大丈夫だから。私が何とかしますからね」
ひっく、はい。

「まずは敵の潜伏場所をつきとめないと…」

るうさん、無理しないで、ひっく。



カサッ


「あのへん…か。誰か来なければドア閉まってるし行けるかも!」

「コンビニ袋とかあります?」

机の上にぃ。

「じゃあ捕獲と掃討入ります」

『間合いを詰めて…』

カサッ、カサッ

「そこかっ! やったかな? うん、袋にうまく入りましたよ。成功です…あーっ!!」
キャー!!

『穴から逃げるとはっ!』

カサカサ、プーン

『敵が飛ぶとは大誤算!』
「雪村さん、ふせてっ!」
はいっ!


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編集部を自由に飛びまわるゴ…Gは、雪村千鶴の悲鳴を聞きつけた天霧編集長の活躍(雑誌での一撃)によりその存在を強制的に排除された。

雪村千鶴の編集長に対する信頼と尊敬が一段と深まったのは言うまでもない。

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