薄桜鬼_現代 主は小説家
□紅葉狩り1 そうだ、高尾山に行こう
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「るうさん、こっちこっち!」
「待ってください〜」
やばいです。大した距離でも傾斜でもないんですがやや息切れをしてしまします。
普段があまりにもインドアな生活をしているか、どれだけ不健康な生活を送っているのかがバレバレです。
服装は軽装、足元はスニーカー、荷物は小型ナップと立派なハイキングスタイルだけど……体がついてきません。完全な運動不足です。
「結構冷え込む」
この一言から『紅葉狩りという名の登山に行く』に発展するとは夢にも思ってなかったですよ。
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事の起こりは昨日の朝です。
昨日は早起きしたので表の落ち葉掃除でもしようかなと思い立ち、45Lごみ袋にちりとりと竹箒といういでたちでマンション周辺をお掃除してみました。
別に狙っているわけではありませんが、某マンガ&アニメ『めぞん○刻』の管理人さんみたい。
朝の出来事なので、出勤する何人かにご挨拶をしました。
学校に行く斎藤さん、バイトに出勤の平助くんの普段着チームに原田さんとなぜか不知火さんのビシッとスーツチーム。
原田さんと不知火さんは昔からの知り合いで、親友ともいえる仲らしいです。
だけど不知火さん。どうやら今回も土方さんの原稿を取りに来たらしい……だけどまだ本締切ではないそうなので、原田さんの帰りを待って一緒に飲んでいたとのこと。
仕事からみもあるとはいえ、結構な頻度で姿を現す不知火さんはここの住人になってもおかしくないんじゃないでしょうか。まだ空き部屋あるみたいだし、ねえ。
「おはよーるうさん。落ち葉掃除ありがとう! 明日は手伝うからね」
「おはよう平助くん。今日も元気だね。別に家で仕事してるし、自分の好きでしてるから気にしないで」
「おはようございます」
「おはようございます、斎藤さん。そろそろ試験なんですか? 目の下のクマが濃くなってますよ」
「おす。今日も元気だな」
「おはようございます不知火さんに原田さん」
「んだよ、俺たちはセット販売商品なのか? こんなにイケてる男を朝から見てんのにサービスの足らねぇ女だな」
「クスッ。スミマセン不知火さん。朝からもっとイジって欲しいんですよね」
「そんなことぁ言ってねぇよ」
「照れなくてもいいですよ?」
私からしても仕事関係の人なのだけど、仕事上はまったく関わりがないのでものすごく気軽な感じ。たぶん本当はちゃんとした話し方しないといけないんだろうけどね。
『クション』
うわっ、ブルッときたわぁ。
「おいるう大丈夫かよ。最近は『馬鹿』でも風邪ひくらしいからな。うつすなよ」
「ムッ。ただのくしゃみにそんなこと言う不知火さんには雑菌攻撃だっ!くらえっ!!」
集めかかっていた落ち葉を不知火さんに掃きつける。
逃げ惑うのでなかなかヒットしないのが残念。
「最近は明け方が結構寒いからな」
「俺、まだ早いかと思ったけどもう一枚毛布出したよ」
「俺もです」
「ホント朝晩の寒暖が激しくなってきたよね。こういう時は部屋にこもっていられる仕事って幸せだよ」
寒いのあんまり好きじゃないんだよねー。
こたつは部屋のスペース保持の都合上置いてないけど、オイルヒーターで部屋をぬくぬくにして焼き芋とかアイスとは最高なんだけどね。
「何言ってンだ。こういう寒暖の差が激しいときは紅葉狩りだろ。よし、週末空けといてくれ。紅葉狩りに連れて行ってやろう。お前らも空けとけ」
へ?
えっと?
ちょちょちょー!!! 私の意見はガン無視で決められてしまった。
訂正しようにもすでに全員走らないと間に合わなそうな距離に離れてる。
ということで、とりあえず週末には皆さんと紅葉狩りにいくこととなりました。
【2へ続きます】