薄桜鬼_現代 主は小説家

□ご近所さん、よろしくお願いします 平助編
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これ以上にないほど晴れ渡った炎天下の夏の日に私は『ローカル線を経由するものの都心まで約1時間』で『ほぼ新築』の5階建てマンションで『間取りが2DKでも家賃お手頃』な物件に引っ越してきました。
引っ越してきた当日に隣人の人命を救助(?)する羽目になりましたが、それ以降はほぼ順調ともいうべき生活を送っています。
※人命を救助(?)した件の詳細については【土方編】をご一読ください。


「うんにゃぁぁぁーっ! さて無事に締切は守ったから遊ばないとねー」

私的ルールとして『締切と追い込み期間は敵前逃亡しない』だけは守ってるのよ。
煮詰まってくると、どうしても掃除したり手の込んだ料理とか作りたくなるんだけど、それは鬼の意思で我慢。

データの転送はしたし、プリントした原稿はクリアファイルにつっこんで編集部宛の封筒に入れた。あとはこれをコンビニから発送する……やめよう。

今日はまだ締切前。さっき「できたですよー」って連絡してデータ転送してあるから担当の千鶴ちゃんには迷惑をかけてない。
照合用なだけだから、とくにコレを送る必要ないんだけど、何となくいつも送るんだよね。うーーん。

土方さんは……いつも締切直前から担当者っぽい人が泊まり込みで来るしなぁ。データ転送とか嫌いって言ってたからプリントか生原稿なんだろうな、なんて考えてたら「ぷっ」って吹き出しちゃった。

あのあと、土方さん家に改めて引っ越しの挨拶をしに行ったときにファンレターが置いてあって、その宛先見ちゃったのは自分としても痛かった。
土方さんが大人気ラノベ作家『字方推し』(
じかたおし)さんだったとはね。私も結構読んでたよ。
時折超絶脱線して萌え要素があったりして、アニメの話も出てるんじゃないかな。いやー、すごい人と知り合いになったもんだ。
※何で『字方推し』なのかは「HIJIKATA TOSHIZOU」から抜粋しているんじゃないかと予想。一部本名みたいなもんだよね。


そうだ! どうせ都会に出ようと思ってるし、そのまま編集部に届けにいけばいいよね。誰かいるだろうから、千鶴ちゃんに渡してもらうように頼んじゃえばいいよね。

ものすごい妙案がひらめいたかのように、私はウキウキとスキップをしながら出かける支度をしながらどのルートで行くかを考えた。
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