krkの籠球 連載

□猫を拾う8
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『コンコン』

ふいに部屋の扉がノックされた。
時計を見ると7時ジャスト。

「な、何よ」

『かぐや、朝食だよ。いらないのかい?』

すました声が聞こえる。

「い……いらないわよ」
『夕べの食事だけで何日も持たないよ。そこにある水分だけじゃ体調を崩すからね』

ギクッ!!

ちょっと、赤司さんてば目の前にいなくても考えてることを読むわけ!? 顔に書いてあるとか言ってたのに、顔すら見てないのに判断されるってどういうこと!?

「べ、別にそんなこと考えてるかどうかなんて分かんないでしょ!」

つい語尾が荒くなる。

『かぐやならやりかねないからと思ってね。じゃあ朝食は食堂に用意してあるけど、30分以内に食べないと破棄するよ』

何ですって!? 食べ物を破棄? 食べ物を粗末にしようってんですか!?
そんな罰当りな発想して良いと誰が言ったんです?

『俺は食べるが、かぐやが時間内に出てこないなら安全性を重視して破棄することになるだけだから』

それって脅迫じゃないですか?
しかも、出てこないし食べないから破棄する原因は私だと言ってますよね?
暗にじゃなくて直接的に。

私の貧乏キャリアを逆手に取られました。
赤司さんの豪勢な(本人はいたって普通と称していた)食卓を彩る食事を破棄するだなんて…できませんよ。ええ。


そして


赤司さんの思惑どおりに籠城放棄となったことは言うまでもありません。
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