krkの籠球
□街角にて_ティッシュ 【火神】
1ページ/2ページ
今日は部活がオフなので、最近クラスメイトから彼女になったばかりのるうとのデートで、ショッピングと映画の予定になってる。
実は約束をした一昨日から何となく浮き足だってて、夕飯と今朝に至っては飯がいつもの半分ぐらいしか食えてねぇ。
『ぶしっ!』
モール近くの駅で電車を降りたとき、俺の背後で盛大とはほど遠いくしゃみ音が聞こえた。
誰だか知らねぇが、ついいつもの習慣でくしゃみの聞こえた方向へ『God Bress you』って言ってた。
すると背後のシャツを軽く引っ張るアクションともに聞こえたのは、
「ががびぃー、ヘルぷぅ〜」
完全に鼻づまりっぽい声。まさかさっきのくしゃみはるうなのか?
「どうした!? まさか今のくしゃみ……「あだじぃ」」
振り返っても俯いちまってて顔が見えねぇ。
「大丈夫か?ってかその声じゃ大丈夫じゃねぇ、よな」
「だひじょうぶなんだけど、顔上げられないがらガバンのティッシュが取れない(泣) ヘルプみぃ〜」
声が半泣きで、どうやらペーパーを必要とする緊急事態らしい。
「ほら、ちょっとpaperが固いかもしんねぇけどこれ使え」
自分のポケットから駅前で配ってたティッシュを出す。
「あじがど。ぢょっと耳ぶさいででで」
と、濁った音(ダクオンとかいうやつ)全開で言われた。なんだよ『ぢょっど』ってと思って、口元がゆるんじまったけど、黙って言われた通りに耳をふさいだ。