蒼い砦〜黒青(ダークブルー)の海〜

□ねむり姫
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あれから半月ー
俺と居る時の遼馬は
幸せそうな笑顔で
でれでれと話を
するようになっていた

=====
週末の夜ー
ほぼほぼ毎日
ここに居るにも関らず
いつも以上の上機嫌で
酒の差し入れを
束ねたまま
玄関の呼び鈴が鳴った


「はーい。」


「えへへ*
また着ちゃった。」


目尻が緩まったまま
仄かに頬先を染めて
ホロ酔い気分で
俺の胸を掴む遼馬
心臓の芯が
ドクンと
音を立てるのを
自身で自覚した


「−?は?
あのさ〜
だからあなた…」


「説教垂れるなよ!
今、凄く気分
良くてさぁ〜」


思わず飽きれて
口を紡ぐ


「…で?何があったんです?」


「うん。今から
順を追って話すつもり…
今日、琉兄ぃがバイトで
居ないから
ゆっくり愁と
話せると思って
ついつい
着ちゃいました…」


緩みっぱなしの目尻と
上がりっぱなしの口角
酔いが回ったように
俺の肩に身体を預ける


「…はぁ…
これ…なんですか?
大分回ってる
ご様子ですが…?」


「そうでもないだろう…
この程度じゃ…」


(何年共に居ると
思ってるんですか?
ほら、ね?
普段と違う口ぶりから
汲み取れて
しまうんですよ)
何て想いながら
委ねられている
後頭部に掌を回して
額で積止め


「…?ん〜?愁?」


「もう良いですから
ほら行きますよ?
掴まって良いから。」


淡白な言動とは
裏腹に裏がる
心うちが
瞬く間に動き出す


「うん*」


無邪気過ぎる笑顔で
肩に凭れ掛かって
自覚してんのか?って
突っ込んで
やりたいけど…
コイツにとっての
この行動は
全て無自覚で
委ねるの意味を
履き違えている
天然様ー
喉の奥から
大きな溜息を
吐き出した
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