小噺。

□「桃饅のあたたかさ」
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「桃饅のあたたかさ」

「清華さん、今度、友人を連れて来たいのですが、良いですか?」

夕飯時、鬼灯は自分の左隣に座っている清華に訊ねた。
深緋の円卓には、温かい粥や汁物、麻婆豆腐、小籠包等が並び、鬼灯はこれ等の暖かい家庭が当たり前に在る光景に漸く慣れてきた処だ。

「鬼灯ちゃんのお友達?良いわよ。ね、梔美」
「ええ、楽しみね」

鬼灯の養母である清華は鬼灯の意見に賛同し、実の娘である梔美に了解を得た。

『ニコッ』
『なでなで…』
「鬼灯ちゃんのお友達かぁ…。早く逢いたいわぁ」
「とんでもない馬鹿が居るんですけど…良いんですか?」
「鬼灯ちゃんのお友達なら、どんな子でも大歓迎よ」



『キィ…』
「あ、」
『タッ…』
「あ、縷羅さん、待ってください」
『タッ…』
「?」
「?」


「私の友人の烏頭さんと蓬さんです。怖い人でも悪い人…じゃありません」
「…本当?」
「本当です」
『ニコッ』
「こんにちは。初めまして。銀縷羅です。鬼灯兄様が何時もお世話になっています」

「ねぇ、鬼灯兄様。この人達、白澤兄様に乗った事有る?」



「はーい。おやつよ〜」



「今日のおやつはあったかい桃饅ですよ〜」

「いらっしゃい。鬼灯ちゃんのお友達の烏頭ちゃんと蓬ちゃんね?初めまして。銀清華と言います」


「あら!桃饅じゃない。私も食べよ」

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