東京堕天皇子
□告白
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「あの時だ…俺のせいで…」
「相手は十二神将…わからなくて当然です…これで彼女は私の霊力を得ました…おそらく祭壇へと向かうでしょう…本家に帰れば霊力を回復させる呪具があります…何としても止めなければ…」
その時春虎の携帯が鳴る
「冬児か」
「夏目……」
明は夏目の手を握り、夏目を見つめる
「大丈夫です…心配しないでください…」
「うお!?」
「…!」
突然の揺れに驚くも明は夏目を抱きとめる
「……春虎」
「何だ?」
「お前は本家に行け。俺は見届ける」
「な、何言ってんだ」
「分家が本家を守んねえでどうすんだよ」
「う…、わかった」
「(劣勢?)」
「何に気を取られていたのかは知らんが、いかに神童といえど対霊災用八陣結界は破れまい!大人しく投降しろ!」
「田舎は嫌い…虫が多いから…見せてあげようじゃない…土御門夜光の代表的な軍用式を、術式解放、来い!土蜘蛛!」
すると後ろのトラックの荷台の形が変わり、中から鉄の蜘蛛が出てくる
「そ、装甲鬼兵…!」
「お、おのれ!」
呪捜官が人造式に命令するがその攻撃は全く効いていないようだった
そして呆気なく飛ばされ消え、もう一体は盾を展開するが盾ごと貫通され消える
そして土蜘蛛は口から吐いた糸で呪捜官の霊力を吸い取る
「(この辺りか…)」
「もうすぐ」
「?」
「もうすぐだから、待っててね…お兄ちゃん…」
その時着信音が鳴る
「誰!」
明は物陰から出る
「あんた昨日の」
「よ」
「誰?出なくていいわけ?」
確認した携帯には北斗と記されていた
「ああ、大丈夫だ」
そして鈴鹿から、兄を生き返らせること、最年少で十二神将になった自分と兄が親から受けてきたこと、その兄のために泰山府君祭を行うことを聞いた
「止めておけ、人間には不可能だ」
「はあ?」
「もし、お前が天文学的確率で上手くいったとしよう、でも黄泉返らされた兄は本当にそれで嬉しいのか?一人で生きることになるんだぞ」
「何であんたにそんなこと!」
「俺の親は俺が小学生になる前に死んだ」
「……!」
「分家に行っても俺は孤独だったさ。憧れで、大切だった両親が死んだんだからな、それにお前はまだ未来がある、潰すには惜しいだろ」
「縛れ、急急如律令!」
そのとき発っせられた呪術により鈴鹿は足を縛られそのまま倒れる
「ちっくしょう!邪魔すんなァ!」
土蜘蛛は呪術を使った呪捜官に迫る
「やめろォ!」
呪捜官を押しのける
「く!」
明は呪術を使おうとする
「(間に合わないか!使うしか…)」
ドス
「え?」
目の前には一人の少女
「ほく…と?」
土蜘蛛の脚は北斗を貫いていた
北斗はそのまま呪術を使い土蜘蛛を怯ませる
それで暴れた土蜘蛛により北斗は投げられる
「北斗ォ!」
「何で携帯でなかったの?」
「北斗……!」
「ごめんね、騙してて、嘘ついてて…」
「もういい!何も言うな!わかったから………!わかったから!」
「ボクはね、君が好き。ほら逃げなきゃ、死んだら承知しないんだから……」
そう言い北斗は明の腕の中から消える
「北斗……ッ!」
札が地面に着く
「キモ、自分の式神を彼女にしてたわけ?私が見抜けないなんて「うるせェ…」ぇ?」
「喋るな……殺すぞ」
普段の明からは想像がつかない声を出し、その視線と圧力だけで鈴鹿は呼吸ができなくなる。何処からともなく野太刀を出し一回だけ振り、土蜘蛛をバラバラに刻み壊す
そのまま明は土御門本家へと向かう
「(式神だとわかっていても実際に起こると悲しいものだ……)」
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