客室〜テニスの王子様 夢
□夢でKISS KISS KISS
4ページ/6ページ
―――――――木手永四郎―――――――
「…苦い。いやだ。飲み込みたくない」
「いいから早く食べなさい」
ゴーヤ教の熱烈な信者である永四郎があーん、ってしてくれるなんて珍しいからよく見ないで口に入れたのが間違いだった。口の中に広がる何とも言えない苦味。これだけは凛も言うように無理だ。
「ゴーヤは嫌。出していい?」
「食べ物を粗末にするんじゃありませんよ。出すくらいなら…」
ちゅ、と唇が重ねられて、ぬるり、と侵入してきた舌が。口内のものを絡め取って、永四郎はそれを咀嚼して飲み込む。
「ふむ、悪くないキスですね」
なんて、上機嫌なのは永四郎だけだ!!今、凛と裕次郎に写真撮られてたぞ!!
―――――甲斐裕次郎――――――
寝っ転がった裕次郎の側に座って、おもむろに首から下がっている銀の指輪を弄る。なんでもなかなか家に帰ってこないお父さんが託していったものらしい。
いつも磨かれているそれは今も蛍光灯の明かりを反射してきらきら光る。
すると裕次郎がいきなり左手首をつかんで乱暴に指先にキスしてきた。
そして薬指にはめられた例の指輪。ちょっと大きくてくるくる回る。
「こっちの方がいいさぁ」
だって。うん、私もそう思ってた。
―――――平古場凛―――――
凛の髪の毛はいつもさらさら。聞けば月に3回も美容院に通って、シャンプーや洗い方から気にしているらしい。
「いいなぁ」
ぼそりと呟いたのを聞き逃さなかったようでがっしりと捕まえられてしまった。
「お前、ちょっと髪が傷んでるぜ。ほら、枝毛があるさ」
「えー、ショック」
「ショック、じゃないさー。はぁ…」
溜息が頭の上から聞こえる。申し訳ない、と首を縮めていたら。
チュ、と頭のてっぺんからリップ音がして。
つむじのあたりがくすぐったかった。