客室〜テニスの王子様 夢

□夢でKISS KISS KISS
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―――――越前リョーマ――――――

リョーマの家(大きなお寺だ)に遊びに行ったのは夏休みも終わろうかという頃。まだ熱くて蝉がうるさい。

とりあえず従姉妹のお姉さんに教えてもらって本堂に続く階段を上がる。苔むした段を上りきると、古いお堂と――

悪態をつきながら廊下をぞうきん掛けするリョーマ。

「ああ、来たんだ。オヤジー、お茶!」

「おいリョーマ、それより掃除は終わったのかー…おぉ、リョーマの彼女さん。悪いねえ、リョーマ、冷えた麦茶あっから持ってこい」

「やだね。あと少しでこれ終わるからさぁー」

「ったく、しょーがねーなぁ…」

作務衣を着たお父さんとしばらく言い合いをした後しっしっと追い返してしまった。

「座れば?」

不愛想にぴかぴかの廊下を指さすから端っこに浅く腰掛けて必死に雑巾で拭くリョーマを目で追う。

「はー、終わった」

「お疲れ様」

「嫌いなんだよなぁ…」

汗ばんだ額を前髪をかき上げて露わにし、控えめに唇を寄せる。

「ご褒美」

「ふーん…」

相槌をうちつつそっぽを向いた顔が真っ赤だった。




―――――不二周助―――――

『これら夏の大三角は――…』

周助の希望でやってきたプラネタリウム。神話や昔話が大好きな彼らしくて、しかもロマンチックでいいなぁと悦んで連れてきてもらったのだけれど。

さっきから何も言わないし。まあおしゃべりするような場所でもないし、ずっと黙って周助は半球体のスクリーンを見上げている。

少し、退屈してしまった。

薄暗い室内。耳に心地よいBGMに、穏やかなナレーターの声。

いつの間にかウトウトしていたらしい。

「ねえ、起きて」

クスクス笑う声が耳元でして。

ついで唇に触れた温かく柔かいもの。

「僕のキスで目が覚めるなんて、君はお姫様みたいだね」


目をあけると視界いっぱいににこりと笑う周助の顔があった。




――――――菊丸英二―――――――

「ちょっと待っててにゃ〜、お菓子とジュース取ってくる!姉ちゃーん、クッキー出していいーっ?」

初めて、だ。英二の家に呼ばれたのは。

緊張しつつもお姉さんとお兄さんたちに挨拶を済ませ(お父さんとお母さんは仕事らしい)早々に英二の部屋に引き上げてきた。でも少しとたたないうちに英二は出ていってしまう。

間が持たないのかと思うと少し悲しい。ふ、と壁に貼られたポスターが視界に入った。

それは人気アイドルグループ『chocolates』のポスター。英二は彼女らの大ファンだ。

私はこの子たちみたいに可愛いわけじゃない…英二はもっとこんな子が似合うんじゃないかなぁ…

なんて、ぼんやり薄っぺらい紙を見上げる。

「お待たへ〜…って、ほえ?なっなんで泣いてるの!?」

「え、いや、なんとな…く?」

「んもーっ!なんとなくじゃわかんない〜!!」

言いながら私の目じりに唇を寄せてキスなんてするから!

ポスター、剥がしてくれないかな?…だめかなぁ?




――――――手塚国光―――――――

「手塚!!」

私の彼は気難しくて、誰よりも自分に厳しい。

だから恋人として癒してあげたいと思うのですよ、よく。

全国大会決勝でものすごい無理をして。勝てなかったけど頑張ってる姿に号泣してしまった。

表彰式後、また無理して優勝旗なんて持つから…

包帯が巻かれた痛々しい左腕の鈍痛が少しでも和らぐように、長い間目を閉じて唇を押し付ける。

顔を上げると、ほっぺたを掴まれて上、向かされて。

「こっちの方がいいだろう」

なんて言いながら唇を重ねてくるから。

今日も私の方が癒されてしまったよ。




――――――海堂薫―――――――

薫の唇は少しぽってりしていて、思わずキスしたくなるような唇。

素直にそう言うと、

「バカ」
と怒られた。

本心だよ?とわらうと「フシュゥゥーッ」と口をとがらせる。

ほら、また。

だから、そんな時にキスしたくなるんだってば!!

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