客室〜テニスの王子様 夢
□溜息から、愛
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「フシュウウゥゥゥー…」
『ねえねえ、それって溜息なの?』
ある日の放課後。何をしてきたのか疲れた表情で私の向かいにどっかりと腰を据えた薫はお馴染みの息を吐き出した。
「あ?さぁ…」
『さぁ、って…』
首をかしげる彼に苦笑。
『今のはどう?疲れたぜ〜っとか腹減ったぜ〜っとか…』
「分からん」
『無意識下なもの?』
「フシュウ…」
『ほらまた』
「今のはおめーの質問攻めに対する溜息だ」
『試合中は?』
「気合入れてくぞ的な…意識してねえ」
『ふうーん…でも溜息ってついたら幸せ逃げてくよね』
「何!?」
『だーかーらー…スゥ…』
「…なんだその深呼吸は」
『薫の幸せ私がもらいましたっ!』
「は!?返せ!!つかもう結構空気に馴染んじまってると思うが…」
『じゃあ出るまでスタンバーイ』
「おい」
呆れたように薫は頬杖をついて空を睨む。
「……幸せにならいくらでもしてやるがな」
『…は?』
私が聞き返す番だった。
『今、なんて』
「っせーよ…フシュウウゥ…」
『…』
「あ?吸わねーのかよ」
『…だって、直接貰った方がご利益高そうだもん』
「やるよ、直接」
帰るか、と立ち上がったその腕をあわてて掴む。
チュ
「…」
目をぱちくりさせて停止した薫にキス。
『ありがと』
小声で言うと、小指を絡めてくれた。
相手の溜息を吸引。カルタの試合中よくジンクス的なものでやってます。