いち

□反則。
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疲れた疲れた疲れた!!!

肩掛けバッグを軽くぶんぶん回しながら帰り道を歩く

というかもう毎日、このセリフいってる気がする…

そう考えるとまた気が重くなって、はぁーっとまた何回目かわからないため息をついた。
ため息つくと、幸せが逃げるって言われるから本当はつきたくないのだけれど

それと、駅から部屋までのこの道は真っ暗だからか余計考えも暗くなっていくのがもう習慣となっていて、はたからみたら怖い女なんだろうなとか考えながら家に到着した。




ガチャ





鍵を開け、中に入ると暖かい空気が入ってきた。

あれ?あったかい…

いつもは冷めた冷たい空気で出迎えてくれる部屋が暖かくて、中に進むと電気が付いてた。

「…?」

リビングのドアの隙間からうぃーみたいなおっさんの酔っ払ったような声がしてそっとドアを開けて中を覗くと、ソファーで寝てる卓也の姿があった。

その姿をみてほっと胸を撫で下ろす。変な人じゃなかった…と

そして卓也はというと、毛布をきゅっと抱きしめてる姿は可愛くて愛おしい
そっと近づいていったつもりだったけど、近づいた気配がしたのか、卓也がうっすら目を開けた。

「…ん?……なまえ?……おかぇり〜」

ちょっと呂律が回ってない卓也

可愛いなあ

するとむくっとまだ半開きの目つきで起き上がったと思ったら

そのままふにゃっと笑って手が伸びてきた。

え。なんだろ

そう思って固まってたら

その手は私の頭の上にのった

そして、


ぐわしゃー!!!!

って音が聞こえるくらい私の頭をぐしゃぐしゃにして言ったんだ

「お疲れさん、ゆっくり休んでな」


って、





(それは反則だってば!)
 

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