追 憶

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平助side〉〉〉


「あ…平助兄ちゃん‼︎」

「茜?」


道場に行く途中…
すれ違った茜が俺の腕を掴む。


「ねぇ、剣術教えて‼︎」

「け…剣術?」

「そう‼︎これから稽古するんでしょ?」


いや…まぁ、そうだけど…。


「お前のことは俺が守ってやるから
剣術なんて出来なくても…。」

「だって…沖田さんが毎日毎日毎日毎日
君は役立たずだねって言うから…。
悔しいんだもん‼︎」


頬を膨らませている茜が子供みたいで
思わず吹き出す。


「…笑った…
人が真剣に悩んでるのに…。」

「あ…ごめん…。」


茜があんまり可愛いから…つい。


こんな感じだから…

守ってやりたくなるんだよな…。


頭を撫でてやるとふいと目を逸らされた。


「総司の言うことなんて
気にすんなって。な?」

「…。」


まだ納得いかなそうだな…。


どんなに稽古しても総司には勝てないと
思うんだけど…。


「稽古なら俺がしてやる。」


背後から聞こえた声に振り向くと
猫平助を抱いたはじめ君が立っている。


「…はじめ君…?」

「斎藤さん♡」


茜が満面の笑みではじめ君の隣に駆け寄る。


「稽古つけてくれるって本当ですか?」

「あぁ。本当だ。
だが今は副長があんたを呼んでいる。
副長の手伝いが終わったら
俺の部屋に来るといい。」

「分かりました♡じゃあ…後で♡」


そう言って走り去る茜の背中を
ただただ突っ立って見送る。

なんだよあれ…。

語尾に♡つきまくりじゃんかよ。

ちぇっ…

こんなことなら俺が稽古つけて
やれば良かった…。




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