追 憶
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「この猫ちゃん
茜さんが飼ってるのね?」
「はい。でも…最近は
斎藤さんにすっかり懐いてしまって
私のところには全然きてくれないんです。」
「あら…そうなの?」
猫平助に煮干しを差し出しながら
伊東さんがクスクスと笑う。
あの日から
私は伊東さんの小姓になった。
嫌々だけど仕方ない…。
土方さんがそうしろって言うなら
私はそれに従うまでだ…。
昼間はそばにいられないけど
夜、部屋に戻れば朝まで一緒にいられるし…。
これくらい我慢しなきゃね。
「ねぇ…もしかして。
茜さんと斎藤さんって…。」
「…え?」
「…ううん。なんでもないわ。」
なんでもないわ…って言いながら
めちゃくちゃ何か企んでそうな顔してる。
…嫌な予感がします。はい。
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