追 憶

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「今はまだ無理だ…。」

「…そうですか…。」

「君は総司を頼む。」


山崎さんはそう言うと静かに襖をしめた。


平助兄ちゃんはあの夜…

池田屋で額に怪我をしたらしい。


何度も部屋を訪ねているけど…

山崎さんが会わせてくれない。


平助兄ちゃん…

大丈夫なのかな…。



「また平助に会えなかったの?」

「…え?」

「茜ちゃん元気ないから。そうかなーって。」


沖田さん…鋭い…。


「今日も山崎さんに
ダメって言われちゃいました…。」

「それで僕のとこに来たの?」


沖田さんがいたずらっ子の様な
笑みを浮かべて私を見ている。


今日は顔色も体調も良さそうだな…。


池田屋で喀血した沖田さんも
平助兄ちゃんと同じく
山崎さんの治療を受けている。


「そうですよ?
さ、少しでもいいので食べてください。」


お粥を差し出すと沖田さんが顔を背ける。


「え〜…食べたくない。」

「ダメです‼︎」

「…茜ちゃん怖いよ。」


怖くても何でも…

たくさん食べて早く元気になって欲しい。


「早く元気になって
また稽古つけてください…。」

「もう…ちゃんと食べるから。
泣かないでよ…。」


沖田さんが優しく頭を撫でてくれる。


「うっ…ごめんなさい…。」


看病してる私が泣いててどーする‼︎


もう…


本当…私ってダメ人間…。


優しくしてもらう資格ないよ…。


君って役立たずだねって
前みたいに言ってくれたらいいのに…。





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