追 憶
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はぁ…。
夕闇に私のため息が吸い込まれて消える。
「まるで私の心みたい…。」
仰ぎ見た空はどんよりとした雲を
たたえている。
今にも雨が降りそう…。
「俺たち付き合うことにしたんだ。」
あいつはそう言って彼女の手を握った。
私には見せたことのない柔らかい笑顔で…。
「おめでとう‼︎良かったじゃん‼︎」
そう言ったあの時の私は
上手く笑えていたのかな…。
風が吹く度に手に持ったコンビニの袋が
乾いた音を響かせる。
袋の中にはポテトチップスとプリン。
失恋してやけ食いとか…
虚しい…。
いっそ髪でも切っちゃう?
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