涙 雨

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土方side〉〉〉


「総司の様子はどうだ?」


俺の前に
花がお茶を差し出しながら答える。


「まだ少し怠いみたいで…
今は眠っています。
咳がなかなか治まらなくて…。」

「そうか…。」


花がここに通いはじめてから
どれくらいが経ったのか…。


総司の体調は良くなる気配がない。



嫌な予感が胸をよぎる…。



まさか…あいつ…。



「今日は何か
お手伝いすることありますか?」


花の声に我に返る。


「あ…あぁ。
じゃあそこの書状をまとめてくれ。」

「分かりました。」


総司が眠ると
俺の部屋に茶を運び
仕事の手伝いをする。



『僕の言いなりだから?』



総司の言葉が浮かんで消える。


なるほどな…。


甲斐甲斐しい女ってことか。


ん?


ふと、花の着物の襟から見える
紅い印に目が留まった。


わざわざ見えるところに付けた
総司の思惑に苦笑いする。


「受けてたってやるよ。」

「え?」


俺の言葉に花がこちらを向いて
小首を傾げている。


「そんなことしたら丸見えだぞ。」


花の体を抱き寄せると
首筋の紅い印に舌を這わせる。


「…ん…。や…。」


花が俺の腕の中で身じろぐ。


「嫌ならもっと本気で逃げろよ。」


俺の胸を押す花の両手を掴み
畳に押し付けると
見上げる瞳から涙が伝った。


何やってんだ、俺は…。


「泣くなって…。
嫌がる女を抱く趣味はねーんだ。」


俺は花の着物の襟を少しだけ開くと
胸に紅い印を残した。





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