*短編*

□恋の味
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「ちょ…待てって!」

ガシリと腕を掴まれた僕は、
涼介の馬鹿力に耐えきれずに身体のバランスを崩してしまった。



「うわっ!」
「きゃっ!」


ガッターン!

廊下の埃を巻き上げ豪快にコケた。どうやらその際に涼介の後をウロチョロしていた女の子に衝突したみたい。

「知念?ごめんな大丈夫か?」

涼介がすぐに僕の身体を起こしてくれた。

「いたた、

僕のことはいいよ(正直よくないけどww)

それより…ぶつかってごめんね?大丈夫?」

ぶつかった女の子に謝っても反応がない。
不思議に思ってよく見れば
女の子は僕と涼介を見てポカンとしてる。

「あ」

目線の先に繋がれてる僕の手と涼介の手。

ドキン。

なぜかそっけなく僕は涼介の手を離した。
でもなんとなく気になって、ちらりと涼介を見れば
とくに気にする様子なく女の子に優しく話しかけていた。

ズキン。

ほら、またこうなる。
つまらないよ、涼介と居ると…


「じゃ、僕行くね」

盛り上がってる2人を後にまた歩き出す。

なんでかな、
涼介が居ないのはいやなのに、
涼介と居るのもいやなんて、

僕、ほんとにもうわかんないよ…


「おーい!知念、まてよ!」

「どしたの?」

「どしたのって…おま…」

「?」

意味がわからない僕の頭をぐしゃぐしゃっと乱暴に撫でる涼介。

「泣きそうなお前をほっておけるかよ…」

聞こえるか、聞こえないかの
優しい声。

僕は髪の毛の隙間から涼介を見る。
照れくさそうな顔をしている涼介を見て

とっても嬉しくて、
なんだか切なくて

甘酸っぱい味がした。


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