*短編*

□心
1ページ/1ページ

普段気にかからないような"何か"が心に刺さった。

もしかしたらそれは
積もり積もってなのか
今日はやけにそれが辛くて。

コップの水が溢れるように
自分でも抑えることが出来なかった。


「涼介…」

知念が悲しそうな顔で俺を見る。

お前、いつも笑ってるのに。



「…知念は見ないふりしてくれるって思ったのに、」

笑いたいのに瞳から涙が勝手に流れてく。

どんどん、どんどん。

でも知念からは目が離せなくて。


そんな悲しい顔すんなよ…
俺、平気だから。

「…涼介がなんか、

壊れちゃいそうで怖いんだ。」

そう言った知念が俺の手をとって。
ぎゅって手が繋がって。
そこがあったかくて。

でもなんでだろーな。

今は繋がれた手が
暖かいぬくもりが
優しい言葉が

全部、全部
苦しいんだよ。


「全然平気なはずなのに、
訳わかんないよ…

俺、俺…
もうやだよ」

口から勝手に弱音が漏れてく。
これが本音なのか
意味もなく呟いただけなのか
答えは聞かれない。
ただただ知念は全部のがさないで

「うん。」って返事してくれる。

泣きそうな顔の知念の瞳から、
気付けば涙が静かにこぼれた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ