Long(能力パロ)
□〜Spring〜 Episode2
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春が来たら...きっと≪俺≫は、溶けて無くなってしまう。
俺には、春のような≪お前≫を、受け入る事はできない。
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■Episode2
The Ice :首都ペテル(氷の神殿にて)----------------------------------------
★Side シウミン★
ゆっくりとうなずいて、可愛い弟が死ぬ事を受け入れた。
『愛してる』と言って走り去った背中を、追いかける事は出来なかった。
その背中を追いかける"その男"を止めようと、氷のライオンに足を噛ませたが、噛まれている事など気にもせず、振り切るように走り去って行ってしまった。
その道を赤く染めながら。
そんな様子をぼんやりと眺めていると...ひゅっと風の音が聞こえて、バチンッと派手な音が鳴った。
痛む自分の右頬と、チカチカと揺らぐ視界に、自分が誰かに殴られた事を知った。
シウミン:「ルーハン.....。」
さっき出会ったばっかりのこの男に、俺は殴られていたみたいだった。
ルーハン:「おっお前たちは、一体何なんだ!!!!」
怒りの為なのか、声が震えている。
シウミン:「何の事だ?」
ルーハン:「お前ら全員、彼が何をしようとしているか、分かってるのか?」
シウミン:「ああ、分かっている。」
ルーハン:「何故止めない?"愛してる"と言いながら、何故誰も止めないんだ!」
スホ:「僕たちに彼を止める事は出来ない。君は知らない。チェンがどれほど死ぬ事を望んでいたか。」
ルーハン:「知らない。分からない。理解が出来ない!!
レイは、"最後まで生きる"ってチャンスを与えたのに、それをすぐに捨てようとするなんて!
俺は、レイと共に"死を迎える人間"を見て来たから分かる、本当に死にたい人間なんていない!」
スホ:「.....。」
セフン:「......。」
シウミン:「そう、怒らないでくれ。ここにいる俺たちは、全員何度も死んでいる。
死の恐怖は、誰よりも分かっている。」
ルーハン:「えっ...」
シウミン:「俺は、実の父に殺されたし、愛する国民にも殺された。自ら死んだこともある。
そこの2人だって、死の記憶を持って転生し続けている。
死は恐ろしくて、残酷で、"無"だ....。
チェンは2000年以上生きても、それを知らない。それが分からない。
チェンにとって、耐えがたい"死"は"孤独"だけだ。
それが、今終われるってなった時、俺たちは止められない。
....止めたくても....止める事は出来ない。」
ルーハン:「.....君たち......。大丈夫、レイならチェンを止めてくれるよ....。」
ゴメン。
そう言って、自分が叩いた俺の頬を、そっと撫でてくるこの男からも、
走って行ったあの男からも、温かな、花の香りがした。
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