Melody.
□魔法薬学
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わいわいとおしゃべりをしながら雅はハリー、ロン、ハーマイオニーと魔法薬学の教室へと向かっていた。
「緊張するわね」
「あら、大丈夫よ!雅はあんなに勉強していたんだもの。」
「そうだよ。僕なんて何にもしてきてないんあだよ!」
「…ロン、それは自慢げに言うことではないと思うわ。」
「そうだぞ、ウィーズリー。その赤毛はただでさえ目立つのに、授業で頭の悪さを露呈してさらに目立つ事もないだろう?」
いきなり聞こえてきたのは嫌味な声。
「余計なお世話だ、マルフォイ。」
入学してまだ数日しか経っていないのに、雅の友人たちは既にスリザリンのお坊ちゃまと仲が悪いらしい。
「ああ、雅。君とは寮が離れてしまって本当に残念だよ。たとえ君がグリフィンドール生であっても仲良くしたいと思っている。…でもわざわざこの馬鹿共と仲良くする必要はないんじゃないか?君にはもっと高尚な人間がふさわしいよ。」
「こんにちは、ドラコ。私も変わらずあなたと仲良くしたいわ。…でも私のお友達に馬鹿とは言わないでちょうだい?みんな優しくて素敵な人たちなの。」
少し寂しげな表情で雅が言うとドラコは、君がそう言うなら…とバツが悪そうに去っていった。
「あんな奴と仲良くする必要ないよ、雅」
不機嫌そうにハリーは言った。
「でも人とのつながりって不思議なものだから
、私はできるだけそれを大切にしたいと思っているの。」
まっすぐな瞳でそう告げる雅に、誰も何も言うことができなかった。
そしてその様子を陰から見ていた人物がひとり。
ジョージは魔法薬学へ向かう雅が心配で、何か励ましの言葉をかけようと弟たちの後を付けていたのだった。
あのわがままマルフォイ家のお坊ちゃまを黙らせた、彼女の凛とした態度に心臓が早鐘を打つ。
彼女には何も言わなくて大丈夫だろうと踏み、黙ってその場を離れた。
そしてそんなジョージの姿を見守っていた人物がひとり。
彼の片割れである。
こんな短い間に相当惚れこんじまってるなあ…
やれやれと息をひとつついて、彼もまた次の授業へと向かった。