Melody.
□出逢い。
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「…ふぅ…」
ホグワーツ特急の一つのコンパートメントで、艶やかな黒髪をした美しい少女、雅・四宮は思わずため息をついた。
どこに行っても誰かに見られていて、このところあまり落ち着けていなかったのだ。
…とは言っても今も大概見られているのだが。
コンパートメントを求めて雅がいるところも覗いていく生徒も多いのだが、みんな慌てて通り過ぎて行ってしまう。
…友だち、できるのかなぁ?
雅はそれを一番不安に思っていた。
もちろん、この前の歓迎パーティーで知り合った魔法使いの貴族は居るのだが、なんとなく、本当の「自分」を見てくれる気がしないのだ。
はぁ…
と二度目のため息をついていると、遠慮がちにコンパートメントの戸が開いた。
「…ごめん、一緒に座っていい?もうどこも空いてないんだ。」
入ってきたのは二人の男の子。
一人は燃えるような赤毛をしていて、もう一人はくせのついた髪にメガネをかけている。
「ええ、どうぞ。」
雅は微笑んで二人の荷物を運び入れるのを手伝った。
「ありがとう!僕、ハリー・ポッターっていうんだ!君は…ってなんかどこかで見たことがあるような…」
「僕、ロン・ウィーズリー!…そういえば…なんかママとジニーが言ってた子に似てるような…」
うーん、考え込む二人に、雅は思わず笑ってしまった。
なんだ、良かった。
私のことあんまり知らない人だってたくさんいるんだ。
「…初めまして。私。雅・四宮。日本から来たの。よろしくね?」
「「あぁ!!!分かった!!!」」
二人は声を揃えた。
「母さんが言ってた子だ!うわぁ〜、嬉しいな。偶然とはいえこんなに早く会えるなんて!」
よろしくね、と言って三人は握手を交わす。
「私、ポッターっていう苗字、聞いたことあるわ。…あの有名な闇払いのジェームズ・ポッターってハリーのお父様かしら?」
「…父さんって有名なんだ…。そうだよ!」
ハリーは少し照れて、誇らしげに微笑んだ。