私立聖十字学園-An angel and the devil and neutrality-

□私立聖十字学園-An angel and the devil and neutrality- £1£
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その日は、生憎の雨天。
そんな中で、一人の少女が通学鞄を頭に乗せ、雨から自身を庇いながら自宅に向かって駆けて居た。しかし、鞄一つでは体全体を庇うことはできず、肩や尻尾の部分は少なからず濡れていた。
「最っ悪……」
徐々に激しくなってくる雨に悪態をつくと、とある場所を目指して駆け出した。

カランカラン……
扉を開けると、喫茶店でよくあるベルが鳴り響いた。それと同時に可愛く響く、店員の声。
「いらっしゃいませ……あ、五月ちゃん!」
店員は、入ってきた少女を五月と呼び、少女の方へ近づいて行った。
「どうしたの?びしょびしょだけど……」
店員は、怪訝そうに首を傾げると、制服のポケットに手を入れ、ハンカチを取り出すと少女に渡した。
「有難う……いやぁ、傘を忘れちゃってね、この様だよ……」
少女はハンカチを受け取ると、濡れた部分を拭けるだけ拭き、やれやれとでも言いたげな表情で苦笑した。
その後、少女は席に案内されると、珈琲を頼み、外を見た。
外にはまだ雨が降り注ぎ、止む気配は無い。少女はため息を小さく着いて、いつの間にか届いていた珈琲に口を付けた。
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