補充

□手を取り合えた者達
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数ヶ月の月日が経った
トラヂェディとクルーエルは何時ものように騎士と死神の仕事をこなしていた
面倒だと言いつつも着々と仕事をこなすトラヂェディの後ろを歩くクルーエル
チリンと二つの鈴が音を鳴らす

「なーなー、トラヂェディー」

『あー?何だよ』

くだらない会話をしつつ、歩き回る
色々な場所を見回りしつつ、会話を続ける

『……そう言えばよ…、あいつ等は元気かな…』

「あいつ等?…あぁ、エヴァダンス達の事?」

トラヂェディはチラリとクルーエルを見る
クルーエルは少しだけ考える素振りを見せ、笑う

「大丈夫だよ、あいつ等はきっと元気だよ」

確信なんてない言葉
その場しのぎの言葉
それでも、きっと
エヴァダンス達は元気であると知っていた
勝手な事だけども

『そっか』

それだけでも十分だったらしくトラヂェディは前を向き歩き出す
空は何処までも青々しかった





「…おー…団長ー」

オッドアイの瞳が動く
先に歩いて行っている三人は首を傾げる
呼ばれたエヴァダンスは目を細めワースレスを見る

「何だ?」

問えばワースレスは笑う
空を見上げたまま、呟く

「あいつ等と何時会えるかなー」

「……もう少し、もう少しの辛抱さ」

「俺とデフェットが魔方陣をくんでるから…それまで待て」

チラリとデフェットを見る
苦笑を浮かべ、見返す
どうやらもう少し時間がかかりそうである
ワースレスはムスッと頬を膨らませみる
それでも何時かは会える事が楽しみで仕方なかった

「ま、もう少し待ってくれよ。絶対に会わせるからよ」

「…分かった、その言葉俺様信じるからな!!」

ダッと地を蹴り三人の元へと飛び込む
抱きしめ、温もりを感じる
三人は顔を見合わせ笑い合う
笑い声が響く中、四人は幸せそうにしていた

会えるまで後少し…

そう何時かは会えるのだ

“暗”の世界の住人との奇妙な友情
お互いは敵同士だったとしても
絆が生まれ、手を取り合える

そんな些細な事が
生まれたのだった


大きく手を振る
駆け出す
死神と白銀の騎士に思いっきり抱きつく

「会いたかったぞお前等ー!」

後ろを歩いてくる三人の騎士
二人は見て、ニッと笑う

『俺等も会いたかったぜ!』

幸せな日は
広がってゆく

時間も
ひと時も

一緒に
広がってゆくのだ



END
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