補充

□勘違いから生まれたもの
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落ちてゆく
落ちてゆく…
力の入らない体は重力に抗わない
抵抗もなく
真っ直ぐ落下していく

(あー…俺生きたまま此処で…終わるのか)

おぼろげな瞳で上を見上げている
暗いその場所
自分と落下してくる瓦礫物
クルーエルはどうせ自分は死なないのだからと諦めている
ただこの崩落してゆく空間に閉じ込められ何度も再生するだけなのだ
自分の人生などどうせこれから先もろくな事ではない事は確か
クルーエルは静かに目を閉じる

―ル……クル……エ…―

誰かが名を呼ぶ
閉じていた目を開ける
差し伸ばされている手
クルーエルは
その差し伸べられた手を掴もうと
手を伸ばす

『クルーエル!!!』

ガシッと掴まれた手
絶対に離さないと言うかのようにしっかりと握られた手
クルーエルは目を見開く
赤い瞳が翠玉色の瞳を真っ直ぐと見ている
少しばかりなりは違うがこの声、そしてその瞳は確かに知っている人物

「…トラヂェディ…?」

白銀騎士であるトラヂェディ
マントである部分はまるで羽のような形をしている
それと同時に小さな羽が肩の部分に切り離され浮いている
その姿は
神々しく、まるで神のようである

『クルーエル、行こう。この手は絶対に、離さない』

ニッと笑い、上へと飛び出す
一瞬で上空へと来た二人
トラヂェディは空を見上げる
亀裂が入り異空間が見えているその空に手をかざす
巨大な魔方陣が現れ、“暗”の世界を照らす
光が“暗”の世界を包み込む

「何だあれ?!」

「光……何て、暖かい…光なんだ」

デフェットとエヴァダンスは空を見上げる
暖かな光に二人は涙を零す
気絶しているはずのワースレスとインフィアリアにもうっすらと涙が滲んでいた


『この世界は壊させない、何があっても!!』


魔方陣は光を放ち
一瞬で視界を白へと塗りつぶす

暖かな光は

全てを包み込み

世界を

優しさで包んだ



To be continued
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