補充

□勘違いから生まれたもの
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ガラガラと祭壇のまわりが崩落してゆく
走る
その部屋から飛び出す
廊下に出て行く
ピシピシと罅は廊下まで迫ってくる
クルーエルはエヴァダンス達と一緒に走る
罅が徐々に迫ってくる
クルーエルはともかく“お荷物”を抱えているエヴァダンスのスピードは落ちて来る
舌打ちを零す

『おい!団長様!!!大丈夫かよ?!』

「…っ…、だい…じょうぶだ…!」

しかし言葉とは裏腹に顔は青ざめ、血はポタポタと床へと落ちてゆく
それが点々と続き、道しるべになってゆく
デフェットはただただ引っ張られてゆく
一番のお荷物はデフェットであるというのに…
しかしあの手を離す事をエヴァダンスはしないだろう
大切な仲間だから

と、同時にガクリと視界が変わる
否、一瞬の浮遊感
クルーエルの足元が
無くなる

『やべっ…』

羽を出そうとするが生憎先程の植物にほとんどの力を奪われてしまった為、羽が出せない

「!!!!死神!!!」

気付いたエヴァダンスが立ち止まり声を張り上げる
その間にも罅は進行してゆく

『っ…おい!!デフェット!!トラヂェディを!!』

せめてものとトラヂェディには悪いが最後の力を使いデフェットの方へと投げ飛ばす
デフェットはトラヂェディをしっかりと抱きとめ、心配そうにクルーエルを見る

「死神!お前は!!」

『俺は…いいから!!早く…!』

体は徐々に暗い底へと落ちてゆく
重力に抗う事なく
落ちてゆく

“暗”の世界に亀裂が走っていた
祭壇からその亀裂は広がり
“暗”の世界を消滅させようとしているのだ

クルーエルはそんな罅の中に

落ちていったのだ


エヴァダンスとデフェットは城の外まで来る
門を越え、城の離れた場所へと来る
空を見上げれば亀裂が入っており、その亀裂から異空間が見えている
エヴァダンスとデフェットの顔が青ざめる
“暗”の世界が消滅してしまえば自分達も消滅してしまう
そうなれば
魂は何処へ?

永遠に彷徨う?

「っ…、せめてワースレスとインフィアリア…お前と白銀騎士だけでも…」

「馬鹿!皆一緒にだろうが!!」

デフェットは涙目になり訴える
エヴァダンスは、目を細める
自分の傷を魔法で癒す
徐々に傷は消えてゆく

「…だが…」

「“暗”の世界でしか生きられないならば…この世界が崩落するのを阻止すれば!!!」

「……無理だ、俺等に…そんな力はない」

「っ…」

何も出来ない無力な自分達
ただただ
見守ることしか出来ない

無力で

無能な

自分達



惨めだ




『…させるかよ』

赤い瞳がギラリと光る
姿が
一瞬だけぶれる
そしてその場所から


消えた
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