人外

□蒼天
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俺の母さんは、高校の頃親父と知り合った
ちょっとヤンチャなグループに二人は属しており直ぐに打ち解けたそうだ

結婚するまでは周りが羨むくらいの仲睦まじい関係だったのに
結婚してから
親父が変わった

元々短気な親父だったが
直ぐに怒り母さんを殴り
正気に戻って謝り倒す
そんな日々だったのだ

俺が100歳の頃、親父と母さんは離婚した


俺は妹と母さんをキツく抱き締め命に変えてもこの二人を守ると幼いながらにそう誓った





母さんは、俺が180歳の時に死んだ
自殺だった


通っていた高校を中退し
まだ中学生だった妹を学校に通わせながら必死になって働いた
掛け持ちを幾つもして休みも取らずがむしゃらに働いた
本当はいけないが水商売の仕事にも手を出した事もある

そんな生活を送って居た時に、ある男に出会った


「あなた、今いくつです」
「210歳です」
「嘘はよしなさい。未成年がこんな仕事、良いんですか?」


丸い目に透明な頭
聴診器の先が口と言う人間ではなく俺と同じ人外の類の者だった


「この事は、秘密にしてください」
「何があったんですか?」

俺は全てをその男に、Dr.に打ち明けた
すると彼は見ず知らずの俺に飲み物を用意して、背中をさすってくれたのだ
母親が死んでから初めて優しくされたかのような、不思議な気持ち




「ああ、じゃあ貴方に仕事を提供しましょう。額もそれなりに」
「え。」
「あなた、運転出来ますか?」
「はい、有る程度なら」
「では、決まりです」



こうして俺は運び屋になった
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