蝶番

□はじまりの音
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白い天井

白いカーテン

白いベッド


何もかもが白い世界

温度のないシーツの上で俺は軽く寝返りをうつ

白い世界には
これまた白い自分の腕が点滴に繋がれていた



俺は重い体を起こして辺りを見回すと綺麗なダリアの花がこちらを見ている気がして
何だか少し違和感を感じる


「目が覚めましたか」


音のする方へゆっくりと振り向くと毎日同じ日々を共に過ごす愛しい人の姿があった

「先生、俺…」
「もう大丈夫ですよ、単なる栄養失調です。少食なのは知ってますが食事はバランスよく取りましょうね」

何時もと変わらない声

何時もと同じ笑顔

何時もと同じ


なのになんなんだろうこの違和感は






電子音が鳴り響いた


「っあれ、……ここは」

ベージュ色の天井
赤いカーテン
そして赤いシーツ


「…夢?」


嫌な夢を見たのだろうか
身体は冷や汗でぐっしょりと濡れていた

シャワーを浴び、歯を磨く
朝食を作り、仕事に行く

何時もと変わらない日々
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