創作交流

□Latte art
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拝啓いつも窓側の席に座るあなたへ



【Latte art】



「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」

何時もの営業スマイルで前を見ると同じ背丈の男性
今思うと一目惚れだったのかもしれない

「ホットコーヒーで」
「ミルクとお砂糖はお付けいたしますか?」
「お願いします」

ほんの些細な、ごく普通の会話
それが嬉しくて仕方なかった

彼はホットコーヒーを受け取ると窓際の席でノートパソコンを開いていた

「おい、スクウェア」
「はい!?……ハンターか、驚かせないでよ…、何か用?」

自然と店内にいるお客様や従業員の視線が自分に集まり顔が火が出そうなほど赤くなる

「何か用はないだろ……注文しに来てんのに」
「ごめんごめん、何にする?」
「んー……ココア、砂糖とミルクたっぷりで、それからショートケーキ」

ハンターがメニューも見ずにつらつらと注文していく

「あのね、ここショートケーキ置いてないってば、ハンター常連でしょ…」
「………じゃあN.Yチーズケーキ」

ハンターにココアとチーズケーキを渡すと直ぐさま窓際の彼が座ってる席の隣に腰を下ろす

あの野郎…

おっと、まだバイト中だ、あがりまで我慢、我慢


結局ハンターは俺のバイトが終わるまで彼の隣の席に居座っていた

「ちょっと、ハンター帰るよ」
「俺まだチーズケーキ食べてるもん」
「チーズケーキ一口も残ってないでしょ!」

あくまで小声でハンターを論してハンターの腕を軽く引っ張る
俺の声に気付いたのか彼がこちらを見るとすぐにさっきの店員かという雰囲気で座りながら軽く会釈をしてまた彼の視線はノートパソコンへと移っていた
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