…想いの欠片…U

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つば兄と梓兄が元に戻って、朝日奈家も漸くクリスマスの音が響き始めた。
リビングに大きなツリーも登場して、寒いけどあったかい空気がやって来る。

「わた〜⁇これで良い⁇」
「わぁ‼!せつちゃんありがとう‼!」
「後はどうする⁇絵麻が帰って来てから、一緒にやる⁇」
「うん、お姉ちゃんと飾り付けする‼!」
「じゃぁリールとかオーナメントはここに置いておくね」
「はーい。ありがとう、せつちゃん」
「じゃ、バイト行ってくるね。部屋に祈織が居るけど、お勉強頑張ってるから、静かにしてようね」
「はーい。いおりんの邪魔しないようにしてるね」
「よし、いい子っ。じゃぁ行ってきます」
「行ってらっしゃ〜い」

今日は土曜日。
朝から弥と一緒にツリーを出してきたんだな。
朝日奈家のツリー、大きくて組み立てるだけでもかなり時間かかったよ…。

絵麻が補習でまだ帰って来てないから、飾り付けはお預け。
バイトから帰ってきたら完成してるんだろな。
楽しみ〜。

「あ、刹那。バイトか⁇」
「昴兄。そうだよ〜。昴兄は⁇今日は部活ないよね⁇」

エレベーターで昴兄と会った。
今日は部活ないはずだけど、昴兄はジャージ姿だ。

「ん。今日、区立体育館無料開放の日なんだよ。シュート練くらいなら出来るから」
「昴兄、頑張り屋さんだね」

だって、世間はクリスマス一色だよ⁇
ほんとストイックだなぁ。

「…俺には、バスケしかないから」

思い詰めた表情。
そういえば、秋の新人戦もあんまり成績良くなかったんだっけ…。
チームっていうか、昴兄自身が活躍できなかったんだよね。

「何言ってんの。昴兄には毎日ロードワークする継続力も、上手くなりたいって向上心も、休みの日なのに練習しちゃうストイックさもあるでしょ。それって、バスケが大好きだからだよね⁇ほら、好きなものに真剣に向き合える一途さもある。
バスケだけじゃないじゃん」

まぁ、全部バスケが基にあるからバスケしかないって言ったらそれまでなんだけどね。

「お前、貶してんのか励ましてんのか判り辛えよ」

昴兄が苦笑しながら叩く真似をした。
うん、笑えるなら大丈夫。

「きゃー暴力はんたーい」
「殴ってねーだろ…ったく。悪い、ありがとな」
「えー⁇何が〜⁇あ、私こっちなんだ」
「そうか。バイトだろ⁇気を付けて行ってこいよ」
「はーい、ありがとう。昴兄も怪我しないようにね〜」
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