She Wolf(長編)
□調査兵団へ
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エルヴィンへ渡す書類を手に、ドアに手を伸ばしかけると
一瞬早く扉が開いた。
ドアを開けた奴が、俺を見て少し驚いたように目を開く。
「失礼しました。」
低い声でそう言って、小さく頭を下げると足早に去って行く。
「誰だ?」
顎でドアの外を指しながらエルヴィンに聞くと
「フィオナ・ホワイト・・・駐屯兵団からの異動だ。」
と、書類に目を落としながら答えた。
「物好きもいたもんだな。」
エルヴィンの机に書類を置きながら言う。
「本人の強い希望だという話だ。ピクシス司令から直接話があった。
家族は無く、彼が身元引受け人だったらしい。」
「ほぅ・・・、どういう経歴だ?」
珍しい後ろ盾に、思わず聞き返した。
エルヴィンは、俺を見上げて
「気になるのか?珍しいな。」
と、笑った。
「ちょっとした興味本位だ。使い物になるかどうかは、すぐわかる。」
俺は、小さく手を振ると部屋を後にした。
******
「私、ペトラ・ラルよろしくね。」
兵団の部屋に入ると、同室になる子たちが
声を掛けてきてくれる。
ニコニコと笑いかけながら、伸ばしてきた手を握りながら
「フィオナ・ホワイトです。こちらこそよろしく。」
と、笑顔で返す。
(猛者の集まりかと思ったけれど、こんな子も居るのか)
と、少し驚いた。
「ここがあなたののベッド。ねぇ、駐屯兵団から来たって聞いたけど・・・本当?」
部屋を案内しながら、ペトラが聞いてきた。
「ええ、訓練兵から駐屯兵団経由よ。
だから、新人とは言えペトラより年上だと思うわ。」
私は、少し笑って答える。
「そうなんだー。でも、そんな風にはみえないけれど。」
小首を傾げて笑う彼女に
「社交辞令、ありがたく受け取っておきます。」
とウインクを返した。
自分のバックから取り出した洋服を棚に閉まっていると
バタバタバタ!と、廊下を走ってくる音。
バッターーーーン!と勢いよく開いたドアを見ると
「フィオナ・ホワイトっいるー?」
眼鏡をかけた女性が、部屋を見回している。
「ハンジさん!どうしたんですか?」
ペトラが、その女性に声を掛ける。
「我が班に、新たな仲間が入ると聞いて嬉しくってさぁー。分隊長みずから、歓迎に来たってわけ♥」
眼鏡の奥をキラキラさせて、ハンジさんが私の顔を見る。
「ハンジ分隊長、ご挨拶が遅れました。今日からお世話になるフィオナ・ホワイトです!」
と、胸に手を当てる。
「ひゃー、ここを希望してきたって聞いたからどんな子かと思ったけど、、、いいじゃーん!
いいじゃーん!可愛いし、巨人好きそうだし!」
と、私の周りをぐるぐると周る。
(ど、どうしたらいい?)
と、横目でペトラに助けを求めたけれど・・・
ペトラは、困り顔で首を振った。
「今日は、調査兵団における我が班の役割を説明してあげよう!」
そんな言葉と共に、腕をつかまれ連れ去られるフィオナであった・・・。