ふたごの村

□郵便屋さん
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朝は蝉の音で目が覚めて、少し前とは明らかに違う日差しに目を細める。木々は青々と茂っていて、白い太陽が私を照らす。このはな村にも夏が来たようだ。

もうそんなに経つなんて、と正直驚いてしまう。春に越してきたのが昨日のように感じてしまうくらい、それくらいこの村での生活が楽しい。

きょうはブルーベル村にお花を買いに行って、釣りや山菜採りもしたいな。夜はお菓子作りをしよう。そんなことを考えながら牧場を出た。以前トンネルが塞がったままだから、隣村へ行くにはやっぱり山登りはしないといけない。この暑いなか!

頑張るか、と大きく息をついた。
そのとき、前方からこちらに走ってくる人の姿が。

「…?知らない人だ」

彼は私に気がつくと足を止めた。えんじ色の帽子をかぶった、私より少し背の高い青年だった。

「おはようございます、初めまして!」
「おはようございます…!あなたは…」
「先日越してきたディルカっていいます。そこの赤い屋根の家です。郵便屋やってて家空けること多いんすけど、よろしくお願いします」

翡翠色の、夏色の目が、にこりと微笑んで細くなった。

「(_きれいな瞳…)」
「お姉さんは?名前…」
「名無しさんです。これからよろしくお願いします!」
「はい!あ…おれまだ配達終わってなくて、すみません、また今度ゆっくり話しましょうね」

にこ、と微笑んで彼は走っていった。
そよ風みたいに、軽やかに。
 

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