book/ NL
□『俺』は『私』
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始まりは。
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「ちょっと、あの人凄いイケメン・・・」
「誰か待ってるのかな・・・」
「超 格好良い・・・!」
大きな駅の近くにある噴水に腰掛け、携帯をいじっていると、周りにいる女の子達が口々に騒ぎ、
「ちょっと君いいかな?」なんて言って芸能界へスカウトされたのはこの短時間で何度目だろう。
何人もの名刺を渡してくる人たちを断り、騒ぐ女の子達にニコッと笑いかければ頬を赤く染め、声は更に大きなものになった。
(あぁ、本当に女の子って可愛いなぁ〜。)
頬を染める女の子達の光景に微笑みながらまた携帯に眼を向ければ、そこには一通のメールが届いていた。
俺はボタンを押し、メールを開く。
「・・・やっぱりバレたか。」
メールの相手は我が兄で内容は完結に「今直ぐに帰ってきなさい。」というものだった。
ため息を吐きつつ、ゆっくりと立ち上がりその場を後にした。
・・・このあと待ち受ける、きついお仕置きを覚悟しながら。
(か、帰りたくねぇええええ!!)