S h o r t S t o r y


□俺のお医者さま
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今朝、ひどい腹痛に襲われた。
エルヴィンに仕事は休めと言われ、仕方なく医者に診てもらうことにした。

15分ほど待つと、看護婦に診察室へ案内される。
そこにいたのは、久しぶりに見る俺の恋人…エレンの顔だった。

「…よろしく」

「はい、お願いしますね。腹痛、ですか。熱はありました?」

「いや、平熱だ」

「では少しお腹を診ますので、横になって下さい」

医者へ行くのにはあまり気乗りしなかった。
1ヶ月前くだらないことで喧嘩し、まだ仲直りしていない。
無駄に緊張し、どんな顔をすればいいのかもよく分からないまま診察台に横になる。

「お腹調べるんで、ちょっとクリーム塗りますね。」

そう言ってシャツを捲り上げる。
腹部にタラリと落とされたものは粘りけがあり、
まるでローションを塗られているような錯覚が起こりそうになる。

それはなぜか少し暖かく、エレンの手によって広げられている。

邪魔だと言うようにズボンのファスナーを降ろし始めたエレンに制止を入れる。

「お、おい待て、何すん…」

「あぁ、服に付いちゃいけないんでずらしますよ。」

涼しい顔で少しだけズボンをずらし、下腹にそれを広げていく。

見方を変えれば卑猥に見えてしまうこの光景に、感触に、ズクズクと自分の中の雄が疼き出す。
主張し始めるソレが、エレンにばれないようにと両膝を擦り合わせた。

「…お腹は大丈夫そうですね。今日は飲酒や辛い食べ物は控えて下さい。お薬出しときますね」

決まり文句のように無表情に言い、素早くクリームを拭いていく。
それでもやはり反応してしまうソレは明らかに目立ってしまっていた。

「っ、えれん…」

「どうしたんですか?お腹痛いですか?」

「違う…えれ、」

はぁっと甘い吐息を吐き、熱い視線を送る。
だが、やはり涼しい顔で大丈夫ですかと聞いてくるだけだった。

「お前…わざと、だろ」

「…何かしてほしいなら、言ってくれないと分かりませんよ?」

怪しくニヤリと微笑んだエレンは、再びくるりと後ろを向いてしまった。

「エレン…はぁっ、苦しい…」

「おれの仕事中に、盛っちゃダメじゃないですか」

依然後ろを向いたままのエレンは薬の処方せんを書き始める。

「エレン、キス…」

「キスが何ですか?」

診察台に片膝を乗せ、意地悪く顔を近づける。
そのまま耳元まで顔を寄せ、甘く囁いた。

ねぇ、どうしてほしいんですか?


激しく心臓が動き出し、顔は赤く染まる。
白衣のままのエレンと、診察台で何してんだと自分を責めてみても
やはり目の前の唇が強烈に誘惑する。

「キスしてくれよ…エレン」

「よくできました。…ご褒美、っ」

噛みつくように唇を貪られる。
ぬるりと上顎を舐めあげられ、再び雄が疼き出した。

「そんなイイの…ねぇ、リヴァイさん」

「は、はぁっ、離すなっ、もっと」

「ダメ。今夜仕事終わったら部屋行きますから。一人でシちゃ駄目ですよ?」

静かに、とでも言うように唇に当てた人差し指に嫉妬する。

「…はやく仕事終わらせやがれ……」

フイ、と目を逸らしながら、処方せんを受け取った。


fin.
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お腹の診察に使うクリーム、
本当にあったかいんですよね。
ええ。

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