S h o r t S t o r y
□紅 茶
1ページ/4ページ
「よしっ!6:00!」
朝、6:00。
いつも早起きの兵長に紅茶をいれに行くのが、
俺の日課だ。
どうしても兵長に美味しいって言って貰いたくて、
毎朝色んな茶葉を試した。
だから、兵長の好みの茶葉も苦手な茶葉も、
全部知ってる。
兵長が『美味い』って言ってくれたのは最近で、
その日からより茶葉選びに力を入れるようになった。
「………。どっちかなー……。」
昨日の晩から悩んでいた二種類の茶葉。
結局朝まで悩み通して、それでも選べなかった。
「……こっちかな…。よし、こっちにしよっと!」
ようやく決まった方の茶葉の袋を持って、
兵長の部屋まで走る。
絶対に喜んでくれるに違いない。
そのために夜通し考えたんだから。
兵長に一番最初に会うのは俺で、
兵長を一番最初に喜ばせるのも俺。
兵長を一番大好きなのだって俺だし、
きっと兵長だって…いつかは俺の事…
ささやかで淡い期待も持ちながら、
俺は兵長の部屋の前に立つ。
「す〜……ふぅ…よし。」
深呼吸して、服装を整えたら
俺の一日が始まる。
.