S h o r t S t o r y


□二 重 人 格
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痛かった。

まさかの展開に、
俺の脳はついて行けなかった。

『これは持論だが…』

リヴァイ兵士長。

彼は俺を殴るだけ殴って

『躾に一番効くのは痛みだと思う』

俺を血だらけに、傷だらけにした。

もちろん、痛みはまだ癒えない。

無論、あの日から4日しかたっていないからだ。

俺は自覚のある二重人格の持ち主だ。
表では単純で純粋な主人公でも、
裏はありえないほどに逆だ。

まぁそんなのは誰も知らない事で…。




「…はぁ」

朝の日射しなんざ、ここには入らない。

なぜならここは地下牢だからだ。

あの生意気な兵士長…
憎ったらしいけど…なぜか、ずっと気になっていた。

あの目は、他の人にはないものだった。

まだあの日から顔を合わせていない。

次会った時はいつもの俺を演じて、
上手くやればいい。

いつか、どうにかしてやるつもりだけど。

〜〜〜〜〜〜〜〜

『おい。久しぶりだな。エレンよ。』

夕食を済ませ、風呂も終わった俺に
残る仕事などない。

「お…お久しぶりです!」

力強い敬礼をする。
本心と反対の事をするのは慣れていた。

鉄格子を挟んで交わされた言葉は
なんら変わりのない挨拶。






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