S h o r t S t o r y


□疲 レ モ 何 処 ヘ
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旧調査兵団本部 ー 地下室

エレンは次の壁外調査の作戦資料を
一つ一つ入念に確認していく。

章が終わるごとに、
一枚の紙に目を移し

ひたすら文字を書く。

一枚の紙が、五十枚程になった時

やっとエレンは伸びをし、

大きく息を吐いた。

「…終わった……」

後は、この努力の結晶を
兵長の部屋に運ぶだけ。

ここまで頑張って、
許可が降りないはずがない。

資料を縦横に揃え、立ち上がる。

深夜1時を回っていた。

コンコン..

「…エレン・イェーガーです。夜分遅くにすみません。」

寝ているかもしれない。

部屋の中からの返事はなかった。

机の上に置いて行こう。

珍しく鍵がかかっていない部屋の扉を
ゆっくりと開ける。

「…失礼します…」

部屋の電気はついていて、
寝ている様子はない。

「あっ…」

机を見ると、山積みになった資料を横に
伏せたまま兵長は眠っていた。

書いた資料と、壁外調査の資料を
重ねてそっと机に置く。

「兵長…風邪…引いちゃいますよ…?」

ソファーに掛けてあったジャケットを
静かに兵長の背中に掛ける。

「……」

少しだけ兵長の綺麗な寝顔を眺め、
部屋を出て行こうとした時だった。

『…エレン…か…』

兵長は、机の資料を見ながら
小さく呟いた。

このまま出て行くのは失礼…だよな。

「…すみません。勝手に入って…」

エレンの存在に気付いた兵長は
小さく息を吐き、立ち上がった。

『今までこの資料を書いていたのか?これは期限がまだ先じゃねぇか…』

わざわざ今日じゃなくても…と言う様な
言い方だった。

「ですが…この資料はなるべく早めに出した方が…兵長が助かるのではないかと思って…」

作戦を組む上で、早いに越した事はない。

『…そうか。悪いな。』

「いえ。そんな事より、兵長も早く休んで下さい。身体壊したりしたら…俺…心配です…」



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