リヴァイHPB企画 小説
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今日しかない。
危機感を覚えたおれは、とりあえず街に出た。
リヴァイさん、何が欲しいんだろう。
何をプレゼントしたら喜ぶかな。
想像してみるが、中々思いつかない。
『お前が欲しい』
いつかそんなことを言われたけど、プレゼントはおれです。なんて絶対言えない。
何されるか分かんないし…
何気なくショーウィンドウに目をやると、クマのぬいぐるみが目に入った。
「…これ、だ」
似てる。
クマのくせにあんまり可愛げのない表情とか、だけど優しい感じとか、ちょこんと座るそれを見た瞬間、リヴァイさんと重なった。
だけど、おれが一番気に入ったのはクマの首元のスカーフ。
リヴァイさんも似合うだろうな、なんて考えて想像して、微笑んだ。
早速店に入りそれを手に入れるべく、ぬいぐるみを探す。
どうしても見つからず店員に聞けば、
カウンターの奥のダンボールからショーウィンドウにあったものよりも綺麗なぬいぐるみを出してきてくれた。
「彼女さんに、プレゼントですか?」
「ええと、まぁ…」
「きっと喜んで頂けますよ」
背の低い女性店員は決まり文句のように言った。
彼女…じゃないんだけどな。
リヴァイさんが異性だったら、どれだけ良かったことか。
今が嫌な訳じゃないけど、将来を考えると不安になる。
どれだけ繋がっても、子供は作れない。
それ以前に結婚だって、付き合うことすら快く思われていないのだ。
小さくため息をついたおれに、店員は構わず紙袋を渡した。
「ありがとうございました、またお越し下さいませ」
無機質な挨拶を背に店を出る。
ひんやりと冷たい風が頬を撫でた。
「さむ…」
早く帰ろう、帰ってこれ、早く隠さないと。
リヴァイさんに似たクマのぬいぐるみは、棚の一番上にある箱の中に、紙袋ごと入れた。
ちっちゃいし、わからないよね、と言い訳をして。