書斎

□宅配便の男の子
1ページ/1ページ





それは、朝のことだった。




ピーンポーン♪



『ご主人!頼んでたPC届きましたよ!早く起きて下さい!』

「ん……なに……はっ、パソコン!」


俺はエネのおかげで壊されてしまったPCをネットで頼んでいた。

連休にも関わらず、即日配達してくれる神通販を見つけたのだ。


「…………は、い」

『あっ、宅配便っす!』

玄関モニターに写った配達員は、爽やかな笑顔の男だった。

おー、なんかすげぇイケメンだな…
さすがは佐○急便…

なんて思いつつ玄関を開ける。


「あ、えとココに印鑑もらえますか!」

「…………ん」


「…でも俺、こんな印鑑より貴方が欲しい…」

「えっ…うぁっ…!」

「犯してあげる…」

「いやっ、ぁあんっ…!!」


………あれ。

「あ、荷物中まで運ぶっすか?」

「………お、おう…」


あれ、何いまの。
も…もしかして妄想してた…?!

やべぇ、俺…
なんで急にこんな変な気持ちに…


「あ、えと、ありがとうございました!」

なぜか急に顔を真っ赤にしたイケメンは、スタスタと行ってしまった。

………何だったんだ…?


『何つったってるんですかご主人。』

「え?いや別に…」

『ははぁーん、もしやあのイケメン配達員に一目惚れでもしたんですね〜?』

「なっ?!んなわけあるか!ちょっと考え事だっての!」

まるで心を見透かされてるみたいで恥ずかしくなった俺は、玄関の扉を勢いよくバタンと閉めた。








そして数日後。


「あ〜……」

『おおーっ、やっぱり最新型のPCは中々の居心地!さすが…って、ため息なんてどーしたんですかご主人らしくもないー』

「俺だって悩むことくらいあるっつーの。」

新しいPCが来たのは喜ばしいことなのだが、俺は今それどころじゃない。

『またあのイケメン配達員のコトですかー?』

「な、ちげぇって!ったくしつこいぞ!」

『えーだってご主人あの日からずっとこの調子じゃないですかぁー。オトメってますよご主人!顔が!』

「…オトメってるってなんだよ」


バタンッ!

「お兄ちゃん!」

「うっわビクった…ノックくらいしろよ」

「このハンカチ、玄関に落ちてたんだけどお兄ちゃんの?」

「はぁ?ちげーよ」

「ウソだー、お母さんも違うって言ってるし」


そう言って渡してきたハンカチには、
『『Seto』』
と、刺繍されていた。


「……セト?」

『誰かの落とし物ですかね。あ、もしかしてあのイケメンさんのでは…届けるべきですよご主人!!アタックのチャンス!』

「え、いや…でも俺…」

『しのこの言ってないで行きますよ!佐○急便!』









c o n t i n u e ..

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ