書斎
□宅配便の男の子
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それは、朝のことだった。
ピーンポーン♪
『ご主人!頼んでたPC届きましたよ!早く起きて下さい!』
「ん……なに……はっ、パソコン!」
俺はエネのおかげで壊されてしまったPCをネットで頼んでいた。
連休にも関わらず、即日配達してくれる神通販を見つけたのだ。
「…………は、い」
『あっ、宅配便っす!』
玄関モニターに写った配達員は、爽やかな笑顔の男だった。
おー、なんかすげぇイケメンだな…
さすがは佐○急便…
なんて思いつつ玄関を開ける。
「あ、えとココに印鑑もらえますか!」
「…………ん」
「…でも俺、こんな印鑑より貴方が欲しい…」
「えっ…うぁっ…!」
「犯してあげる…」
「いやっ、ぁあんっ…!!」
………あれ。
「あ、荷物中まで運ぶっすか?」
「………お、おう…」
あれ、何いまの。
も…もしかして妄想してた…?!
やべぇ、俺…
なんで急にこんな変な気持ちに…
「あ、えと、ありがとうございました!」
なぜか急に顔を真っ赤にしたイケメンは、スタスタと行ってしまった。
………何だったんだ…?
『何つったってるんですかご主人。』
「え?いや別に…」
『ははぁーん、もしやあのイケメン配達員に一目惚れでもしたんですね〜?』
「なっ?!んなわけあるか!ちょっと考え事だっての!」
まるで心を見透かされてるみたいで恥ずかしくなった俺は、玄関の扉を勢いよくバタンと閉めた。
そして数日後。
「あ〜……」
『おおーっ、やっぱり最新型のPCは中々の居心地!さすが…って、ため息なんてどーしたんですかご主人らしくもないー』
「俺だって悩むことくらいあるっつーの。」
新しいPCが来たのは喜ばしいことなのだが、俺は今それどころじゃない。
『またあのイケメン配達員のコトですかー?』
「な、ちげぇって!ったくしつこいぞ!」
『えーだってご主人あの日からずっとこの調子じゃないですかぁー。オトメってますよご主人!顔が!』
「…オトメってるってなんだよ」
バタンッ!
「お兄ちゃん!」
「うっわビクった…ノックくらいしろよ」
「このハンカチ、玄関に落ちてたんだけどお兄ちゃんの?」
「はぁ?ちげーよ」
「ウソだー、お母さんも違うって言ってるし」
そう言って渡してきたハンカチには、
『『Seto』』
と、刺繍されていた。
「……セト?」
『誰かの落とし物ですかね。あ、もしかしてあのイケメンさんのでは…届けるべきですよご主人!!アタックのチャンス!』
「え、いや…でも俺…」
『しのこの言ってないで行きますよ!佐○急便!』
c o n t i n u e ..