書斎

□誤解の果て
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「……カノ…さん」

リビングで頭を抱えている彼を見て、少し…いや、かなり胸が痛くなった。


「あの…さっきは……」

「いいよ」

同じようにソファーに座った俺に、笑顔を返す。
きっと無理してるに違いない。


「僕が自分勝手に付き合わせただけだし、悪いのは僕の方だからさ」


無理して笑っているその姿に、目を合わせられなくなってしまう。
見ているだけでも、つらい。


「シンタロー君の気持ちも分かったことだし、これで僕も諦められ…」

「違うんだ」

意を決してまっすぐと彼を見つめる。
少々驚いた様子だ。
あぁ、俺だって驚いてるさ。自分の行動に。


「俺、本当はカノさんがモモと出掛けてんの、すげぇ嫌で…自分でも意味わかんねぇけど、苦しくて…っ」


「……シンタロー…君……」


「俺の恋人なら…っ…もう…俺以外のヤツと何処かに行かないで…くれよ…っ」

想いを口にした途端、涙が溢れてしまって止められなかった。

もう、苦しくて堪らなかった。


「好き…っ…なんだよ…俺」


「…………シンタロー君…」

「僕のせいで、泣かせちゃった…ごめんね…」

しゅんと下を向く彼が、なんだかこう…いとおしい。

「僕、嫌われちゃったのかなって思って、すごく辛かった」

「……………ごめん」

「ううん、だけど今はすごく嬉しい…僕のこと、そんなに想ってくれてたなんて…」

ニヤけを隠せないのか、急にデレっとした顔つきになる。

いつものカノさんだ。
良かった…と、心から安心した。

「ねぇシンタロー君、それって、嫉妬してたんだよね?モモちゃんにさ。」

「…っ/// べ…別に…」

僕も大好き、シンタロー君。
そう囁いて、耳にキスが降ってくる。

「今まで…言えなくてごめん」

「ふふ…気付いてたから♪」


……はぁっ?!



まぁ、仲直り……したみたいだ。

明日からが不安なんだけどな…






『ご主人…バッチリ録音しましたよーっ♪』








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